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寄附金の損金算入限度額 | 寄附金の種類別の計算方法と計算例を紹介

寄付金 損金算入限度額

法人が寄附金を支出した場合、その全額を損金として計上できるわけではありません。法人税法では寄附金の種類ごとに「損金算入限度額」が設けられており、限度額を超えた部分は損金不算入として課税所得に加算されます。

この記事では、損金算入限度額の仕組みと計算方法を種類別に解説し、具体的な計算例と申告書での処理方法まで詳しく紹介します。

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目次

寄附金の損金算入限度額とは

「寄附金の損金算入限度額」とは、法人が支出した寄附金のうち、法人税の計算において損金(税務上の費用)として認められる金額の上限です。法人税法第37条にその根拠があります。

損金算入限度額が設けられている理由

寄附金に損金算入の上限が設けられている主な理由は、課税の公平性を担保し、意図的な利益圧縮を防ぐためです。寄附金は対価を伴わない支出であるため、無制限に損金算入を認めると、法人が恣意的に利益を外部へ移転して法人税負担を不当に軽減することが可能になります。

また、特定のグループ法人間での利益移転を防ぐ目的もあります。完全支配関係にある法人(100%グループ内)への寄附金は全額損金不算入とするなど、租税回避への対応が制度に組み込まれています。

限度額を超えた寄附金は損金不算入として加算される

損金算入限度額を超えた寄附金の部分は「損金不算入額」として扱われ、法人税の申告書(別表4)において課税所得に加算する調整が行われます。この加算は「社外流出」として処理します。

加算された損金不算入額は法人税の計算上、費用として認められないため、その分だけ課税所得が増加し、法人税等の負担が高くなります。会計上は費用として計上されていても税務上は認められないという差異が生じるため、別表4での申告調整が必要です。

限度額の計算は寄附金の種類によって異なる

寄附金の損金算入限度額は、寄附先の性格(国・地方公共団体・特定公益増進法人・一般など)によって大きく異なります。全額損金算入される区分から全額損金不算入となる区分まで幅があるため、寄附先の性格を正確に把握したうえで計算を行う必要があります。

計算の前提として、いずれの区分でも「期末の資本金等の額」と「当期の所得金額(仮計)」という2つの数値を用います。これらの算出方法を正しく理解することが、正確な限度額計算の基礎となります。

なお、1つの事業年度内に複数の区分に属する寄附金がある場合は、各区分ごとに集計したうえで、それぞれの計算式を適用します。区分が混在する場合の計算順序(特定公益増進法人の特別枠を先に計算し、超過分を一般寄附金に合算する等)を正しく把握することが実務上の重要ポイントです。

寄附金の種類別に見る損金算入限度額

寄附金は相手先の性格によって6つの区分に分類され、それぞれに異なる損金算入の扱いが設けられています。区分の誤認は申告ミスにつながるため、正確な把握が不可欠です。

国や地方公共団体への寄附金は全額損金算入

国(国庫)または都道府県・市区町村などの地方公共団体への寄附金は、法人税法第37条第3項第1号に基づき、支出した全額が損金算入されます。限度額の計算は不要で、寄附金額がそのまま損金として認められます。企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)による地方公共団体への寄附もこの区分に該当します。

ただし、地方公共団体であっても、企業版ふるさと納税として認定されたプロジェクト以外への寄附は通常の寄附金として扱われる場合があるため、プロジェクトの認定状況を確認することが重要です。

指定寄附金も全額損金算入の対象

財務大臣が指定した「指定寄附金」も全額損金算入の対象です(法第37条第3項第2号)。日本赤十字社への義援金や、国立大学法人等への一定の寄附金など、公益性が特に高いと認められるものが財務大臣の告示によって指定されます。指定を受けているかどうかは国税庁の情報で確認できます。

特定公益増進法人と一般寄附金は計算式に基づく限度額あり

公益社団・公益財団法人・学校法人・社会福祉法人などの「特定公益増進法人」への寄附金は、一般寄附金とは別枠の「特別損金算入限度額」が設けられています。また、国・地方公共団体・指定寄附金・特定公益増進法人のいずれにも該当しない寄附金は「一般寄附金」として、資本金等の額と所得金額をもとに計算した限度額の範囲内でのみ損金算入が認められます。どちらも計算式を使った限度額管理が必要です。

完全支配関係や国外関連者への寄附金は全額損金不算入

完全支配関係にある法人(100%グループ内の関係法人)への寄附金は法人税法第37条第2項により、また海外の国外関連者(支配関係にある外国法人等)への寄附金は租税特別措置法により、それぞれ全額が損金不算入とされます。グループ法人税制の一環として設けられた規定であり、グループ内での利益移転を税務上中立に保つ目的があります。

損金算入限度額の計算式で使う各要素の考え方

損金算入限度額の計算には「資本基準額(期末資本金等の額をもとに計算)」と「所得基準額(当期所得金額をもとに計算)」の2つの数値を用います。それぞれの算定方法を正確に理解することが重要です。

資本基準額の算定と令和4年度改正の影響

資本基準額の計算で使う「資本金等の額」は、会計上の資本金や資本準備金とは異なる法人税法上の概念です(法人税法第2条第16号)。別表5(1)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」で管理される税務上の数値を使用します。

会計上の資本金・資本準備金の合計と税務上の「資本金等の額」は、組織再編(合併・分割等)・自己株式の取得・資本の払戻しなどの取引によって差異が生じることがあります。令和4年度をはじめ、資本金等の額の計算に影響する税制改正が行われることがあるため、計算にあたっては最新の法令・通達を確認するか税理士に相談することを推奨します。

所得金額は寄附金支出前の数字を使う

計算式で使用する「所得金額」は、寄附金の損金不算入額を加算する前の所得金額(「仮計」段階の所得金額)です。具体的には、申告書別表4の「仮計」欄に記載される金額を指します。

寄附金を費用として会計計上したうえで各種の税務調整(他の加算・減算項目)を加えた段階の所得金額を使い、最後に寄附金の損金不算入額を加算して最終的な課税所得を確定する流れになります。この計算順序を誤ると限度額の計算自体が正確になりません。

当期の月数の数え方と端数処理

資本基準額の計算では事業年度の月数を用います。設立年度や決算期変更など12か月に満たない事業年度の場合、実際の月数を使います。1か月に満たない端数(日数)が生じた場合は切り上げて1か月として計算します。

たとえば7月10日設立・3月決算の法人の初年度(7月10日〜翌年3月31日)の月数は、7月10日から7月31日(端数→1か月)+8〜3月(8か月)=9か月となります。月数を正確に把握することは、資本基準額の計算精度に直結します。

一般寄附金の損金算入限度額の計算方法

一般寄附金の損金算入限度額は「(資本基準額+所得基準額)×1/4」という計算式で算出します。計算式の構造と具体的な計算例を確認しましょう。

計算式の構造と1/4の意味

一般寄附金の限度額計算式は「(期末資本金等の額×月数/12×2.5/1,000 + 当期所得金額(仮計)×2.5/100)×1/4」です。資本基準額と所得基準額を合算した金額の4分の1が限度額となります。

「1/4を乗じる」という設計は、限度額を比較的低水準に抑えることで、寄附金を通じた課税所得の圧縮を制限する意図があります。後述する特定公益増進法人の限度額(1/2乗じる)と比較すると、一般寄附金の限度額は半分になる構造です。

資本金1,000万円・所得500万円のケースの計算例

期末資本金等の額1,000万円・当期所得金額(仮計)500万円・事業年度12か月の法人の一般寄附金の損金算入限度額を計算します。資本基準額=1,000万×12/12×2.5/1,000=25,000円。所得基準額=500万×2.5/100=125,000円。合計150,000円×1/4=37,500円(約3.75万円)が損金算入限度額です。

この法人が50,000円の一般寄附金を支出した場合、損金算入できるのは37,500円、損金不算入となる超過分は12,500円です。この12,500円を別表4の加算欄に計上します。

資本金1,000万円規模の中小企業では、一般寄附金の損金算入限度額は数万円程度にとどまることがわかります。少額の寄附であれば限度額内に収まるケースが多いですが、数十万円以上の一般寄附を行う場合は事前に限度額を試算することが重要です。

資本金5,000万円・所得3,000万円のケースの計算例

期末資本金等の額5,000万円・当期所得金額(仮計)3,000万円・事業年度12か月の法人の計算を示します。資本基準額=5,000万×2.5/1,000=125,000円。所得基準額=3,000万×2.5/100=750,000円。合計875,000円×1/4=218,750円(約21.9万円)が損金算入限度額です。

資本金・所得がともに大きくなると限度額も拡大しますが、それでも300万円の寄附を行った場合の限度額は21.9万円にとどまり、残りの約278万円が損金不算入となります。多額の一般寄附を行う場合は損金不算入額が大きくなることを念頭に置く必要があります。

限度額超過分が損金不算入になる場合の調整

支出した寄附金が限度額を超えた場合、超過分は別表4「損金不算入となる寄附金の金額」欄に加算します。この調整によって会計上の利益よりも課税所得が高くなります。損金不算入額は別表14(2)の計算結果から転記する流れになります。

一般寄附金の限度額計算で損金不算入額が生じた場合、その金額は翌事業年度以降に持ち越すことができません。事業年度ごとに独立した計算となり、過去の未使用限度額の繰越適用も認められていません。

特定公益増進法人への寄附金の損金算入限度額の計算方法

特定公益増進法人(公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人等)への寄附金は、一般寄附金と別枠で「特別損金算入限度額」が設けられています。より大きな限度額が適用される点が一般寄附金との大きな違いです。

一般寄附金と別枠で計算される仕組み

特定公益増進法人への寄附金は、一般寄附金の限度額枠とは独立して別枠の限度額が計算されます。特定公益増進法人への寄附金が特別損金算入限度額を超えた部分は「一般寄附金」として扱われ、一般寄附金の限度額の範囲でさらに損金算入できます。

この2段階の仕組みにより、特定公益増進法人への寄附金は一般寄附金より多くの金額を損金算入できる設計になっています。計算は「特定公益増進法人の特別枠→超過分を一般枠に合算→一般枠で損金不算入を計算」という順序で行います。

計算式の構造と1/2の意味

特別損金算入限度額の計算式は「(期末資本金等の額×月数/12×3.75/1,000 + 当期所得金額(仮計)×6.25/100)×1/2」です。一般寄附金(資本基準額0.25%・所得基準額2.5%・係数1/4)と比べて、資本基準額の係数が1.5倍(0.375%)、所得基準額の係数が2.5倍(6.25%)、乗じる係数も2倍(1/2)であるため、特別損金算入限度額は一般寄附金の限度額よりも大幅に大きくなります。

資本金1,000万円・所得500万円のケースの計算例

期末資本金等の額1,000万円・当期所得金額(仮計)500万円・事業年度12か月の法人の特別損金算入限度額を計算します。資本基準額=1,000万×3.75/1,000=37,500円。所得基準額=500万×6.25/100=312,500円。合計350,000円×1/2=175,000円(17.5万円)が特別損金算入限度額です。

同じ法人の一般寄附金限度額は前述のとおり37,500円でしたが、特別損金算入限度額は175,000円と約4.7倍です。この差が特定公益増進法人への寄附が税制上優遇されていることを示しています。

別枠限度額を超えた分の取扱い

特別損金算入限度額を超えた特定公益増進法人への寄附金は、一般寄附金の限度額と合算して計算します。つまり特定公益増進法人への寄附金の超過分は「一般寄附金」として扱い直します。一般寄附金の限度額の範囲内であればその分だけ追加で損金算入でき、それでも超過する部分が最終的な損金不算入額となります。

別表14(2)では、特定公益増進法人への寄附金→一般寄附金の順に記載・計算を行い、それぞれの限度額と損金不算入額を確定します。複数区分の寄附金がある場合は各区分を正確に集計して申告書に記載することが求められます。

損金算入限度額の計算で混同しやすいポイントと注意点

実務上、計算式の各要素や処理方法についての誤解や混同が生じやすい点があります。以下のポイントを押さえることで、誤った申告を防ぐことができます。

資本金等の額と資本金+資本準備金の違い

損金算入限度額の計算で使う「資本金等の額」は、法人税法第2条第16号で定義される税務上の概念です。会計上の「資本金+資本準備金」とは必ずしも一致せず、組織再編(合併・分割)・自己株式の取得・資本の払戻しなどの取引によって差異が生じることがあります。

正確な「資本金等の額」は別表5(1)(利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書)で管理されます。申告書作成時は必ず別表5(1)の期末残高を参照し、会計上の帳簿残高をそのまま使用しないよう注意してください。

赤字法人や所得が少ない場合の限度額の考え方

当期が欠損(赤字)の場合、所得基準額はゼロになります。限度額は資本基準額のみで計算されますが、資本基準額自体も小さな金額になるため、損金算入できる寄附金額は非常に少なくなります。赤字法人が多額の一般寄附金を支出した場合、ほぼ全額が損金不算入となる可能性があります。

課税所得が少ない時期に多額の一般寄附金を支出することは税務上のメリットが小さいため、課税所得の水準を踏まえた寄附のタイミングと金額の計画が重要です。

事業年度の途中で増資・減資があった場合の処理

資本基準額の計算では「期末の資本金等の額」を使用します。そのため事業年度中に増資・減資があった場合でも、計算の基礎となるのは期末(事業年度終了日)時点の資本金等の額です。期中の変動は原則として反映しません。

ただし、期中に組織再編(合併・会社分割等)が行われた場合は、その前後で事業年度が区切られる場合や特別な計算が必要な場合があります。複雑な組織再編が絡む場合は税理士への相談が必要です。

限度額超過分は翌期に繰り越せない

一般寄附金・特定公益増進法人への寄附金のいずれも、損金算入限度額を超えた部分(損金不算入額)は翌事業年度以降に持ち越して損金算入することはできません。各事業年度で完結する計算であり、未使用の限度額枠も同様に翌期への繰り越しはできません。

この特性から、各事業年度において課税所得や限度額を考慮して寄附金額を計画することが重要です。特に複数年度にわたって継続的に寄附を行う場合は、事業年度ごとに限度額を試算して最適な寄附金額を設定する習慣を持つことが税負担の軽減効果を最大化することにつながります。

損金算入限度額を踏まえた寄附金の申告手続き

寄附金の損金算入限度額を正確に計算したうえで、申告書の所定の様式に記載することが法人税申告の実務上の要となります。

別表4で行う損金不算入額の加算調整

損金不算入となった寄附金の額は、法人税申告書の別表4「所得の金額の計算に関する明細書」において「損金不算入となる寄附金の額」として加算します。加算の種別は「社外流出」です。これによって会計上の利益に損金不算入額が上乗せされ、法人税の課税所得が確定します。

別表4への記載は別表14(2)の計算結果を転記する形で行います。転記ミスを防ぐために、別表14(2)を先に完成させてから別表4を記載する順序で作業することが一般的です。

別表14(2)に記載する寄附金の区分と金額

別表14(2)「寄附金の損金算入に関する明細書」は、寄附金の区分(国・地方公共団体、指定寄附金、特定公益増進法人、一般寄附金、完全支配関係法人等)ごとに支出額を整理し、各区分の限度額と算入額・不算入額を計算する書類です。

特定公益増進法人への寄附金がある場合は特別損金算入限度額の計算欄に記入し、超過分を一般寄附金欄に合算します。各欄の金額が正確に連動していることを確認したうえで、合計の損金不算入額を別表4に転記します。

別表14(2)の作成では、資本金等の額・事業年度月数・所得金額(仮計)の3つの数値を正確に把握したうえで入力することが基本です。これらの数値を誤ると限度額の計算全体が狂うため、別表5(1)(資本金等の額)・別表4(仮計欄の所得金額)と照合しながら慎重に作成してください。

寄附金受領証など添付書類の準備

申告書には寄附先から発行される「寄附金受領証」を添付または保管しておくことが必要です。特定公益増進法人への寄附金の場合は「特定公益増進法人であることの証明書」の添付も求められます。これらの書類は税務調査時の証拠書類にもなるため、事業年度終了後の保存期間(原則7年)にわたって適切に管理してください。

なお、受領証は寄附先からの発行に時間がかかる場合があります。申告期限(事業年度終了後2か月以内)に間に合うよう、寄附直後に受領証の発行依頼を行うことをおすすめします。

まとめ

寄附金の損金算入限度額は寄附先の区分によって大きく異なります。国・地方公共団体・指定寄附金は全額算入、特定公益増進法人は別枠の特別限度額(所得基準額6.25%×1/2等)、一般寄附金は限度額(所得基準額2.5%×1/4等)の範囲内での算入、完全支配関係法人等は全額不算入です。

計算には別表14(2)を使用し、損金不算入額を別表4で加算調整します。資本金等の額(税務上の数値)と所得金額(仮計)を正確に把握することが適正申告の基本です。

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