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寄附金は損金不算入となる?区分別の限度額計算と申告書の処理方法を紹介

法人が寄附金を支出した場合、会計上は費用として計上できても、税務上はその全額を損金に算入できるわけではありません。法人税法では寄附金に損金算入の上限が設けられており、区分によって扱いが大きく異なります。

この記事では、寄附金の損金不算入の仕組みと6つの区分、損金算入限度額の計算方法、申告書での処理方法まで、実務に役立つ知識を正確に解説します。

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目次

寄附金の損金不算入とは

寄付金 損金不算入

「寄附金の損金不算入」とは、法人が支出した寄附金のうち、一定の限度額を超えた部分については法人税の計算上、損金(税務上の費用)として認められない制度です。まずその基本的な仕組みと趣旨を確認します。

会計上は費用でも税務上は損金にならない処理

会計上、寄附金は支出時に費用(損失)として計上されます。しかし税務上、すべての寄附金が損金に算入されるわけではありません。法人税法第37条では、寄附金の損金算入について区分ごとに上限(損金算入限度額)を設けており、限度額を超えた金額は損金不算入として課税所得に加算されます。

この結果、会計上の利益と税務上の課税所得に差異(税務調整)が生じます。この差異は法人税申告書の別表4で「加算」処理することで調整されます。損金不算入となった寄附金は法人税の負担として残るため、実務上は支出前に区分と限度額を確認することが重要です。

制度の趣旨は課税の公平性の確保

寄附金の損金算入に制限を設けている理由は、課税の公平性を確保するためです。寄附金はその性質上、対価性がなく見返りを求めない支出です。無制限に損金算入を認めると、法人が意図的に利益を圧縮し、法人税を不当に減らすことが可能になります。

特に、寄附金が真に公益目的であるか、それとも別の経済的利益を目的とした支出であるかを外部から判定することは困難です。そこで法人税法は「一定限度額まで損金算入を認め、超過分は損金不算入」という仕組みをとっています。

法人間の利益移転や恣意的な節税の防止

損金不算入制度のもう一つの目的は、法人間の利益移転を防止することです。たとえばグループ会社間で多額の寄附金を支出することで、利益を意図的に移転するスキームを封じる必要があります。

この点から法人税法第37条第2項では、完全支配関係にある法人(100%グループ内の法人)への寄附金は全額損金不算入と定めています。受け取る側の法人においても全額が益金不算入となり、グループ内での利益移転が税務上は中立になるよう設計されています。

法人税法における寄附金の定義と範囲

どのような支出が「寄附金」として法人税法上の規制を受けるのかを正確に理解することは、実務上の判断において非常に重要です。定義を誤ると、限度額の計算から漏れたり、逆に寄附金以外の費用を誤って寄附金として計上するリスクがあります。

金銭その他の資産または経済的利益の贈与

法人税法第37条第7項によれば、寄附金とは「金銭その他の資産または経済的利益の贈与または無償の供与」をいいます。金銭による寄附はもちろん、物品の無償贈与、無償または低廉な貸し付け(通常の対価より低い対価による取引)も対象に含まれます。

「経済的利益の無償の供与」とは、たとえば無利息での資金貸付や時価より低い価格での資産譲渡など、実質的に相手方に利益を与える取引を指します。形式的に売買や貸借であっても、実質的な無償供与に該当すると判断される場合は寄附金として扱われます。

広告宣伝費や福利厚生費など寄附金に含まれない費用

見返りや事業目的が明確な支出は、寄附金ではなく別の費目として扱われます。たとえば、不特定多数に対して行う宣伝・PR目的の支出は広告宣伝費、取引先・得意先との関係維持を目的とした支出は交際費、従業員の福利厚生を目的とした支出は福利厚生費として処理します。

また、法令に基づく義務的な負担金(商工会議所の会費など、反対給付があるもの)も寄附金には該当しません。支出の目的・性質・相手方・対価の有無などを総合的に判断して区分することが求められます。

支出時に費用として認識する現金主義の考え方

寄附金の損金算入時期については、原則として「現実に支出した日の属する事業年度」に損金算入します。手形や約束手形で支払った場合は決済された日、小切手で支払った場合は振り出した日が基準です。

寄附を約束した段階(未払いの状態)では損金算入できません。未払い計上している寄附金は、翌期以降に実際に支払った時点で損金算入の対象となります。この点は売上計上時期の考え方(発生主義)とは異なるため注意が必要です。

損金不算入の扱いが異なる寄附金6つの区分

法人税法上の寄附金は、相手先や目的によって6つの区分に分類され、それぞれ損金算入の扱いが異なります。区分の正しい把握が限度額計算の前提となります。

国や地方公共団体への寄附金は全額損金算入

法人税法第37条第3項第1号に定める、国または地方公共団体(都道府県・市区町村)に対する寄附金は、支出した全額が損金に算入されます。地方公共団体が行う事業への寄附金のうち、企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)による寄附金もこの区分に含まれます。

指定寄附金も全額損金算入の対象

財務大臣が指定した寄附金(指定寄附金)は、全額損金算入が認められます(法人税法第37条第3項第2号)。日本赤十字社への義援金、国立大学法人等への一定の寄附金など、公益性が高いと認められる寄附金が財務大臣の告示により指定されています。

特定公益増進法人への寄附金は限度額の範囲内で算入

公益法人等のうち、教育・科学・文化の振興、社会福祉の充実などの公益的事業を行う法人として法令で定められた「特定公益増進法人」への寄附金は、一般寄附金とは別枠の損金算入限度額の範囲内で算入できます。独立行政法人・公益社団法人・公益財団法人などが該当しますが、すべての公益法人が該当するわけではなく、要件の確認が必要です。

一般寄附金は計算式に基づく限度額が適用

国・地方公共団体・指定寄附金・特定公益増進法人のいずれにも該当しない寄附金は「一般寄附金」として扱われ、資本金等の額と所得金額をもとに計算された損金算入限度額の範囲内でのみ損金算入が認められます。限度額を超えた部分は全額損金不算入となります。

完全支配関係や国外関連者への寄附金は全額損金不算入

完全支配関係にある法人(100%グループ内の関係法人)への寄附金は全額損金不算入です(法人税法第37条第2項)。また、海外の国外関連者(支配関係にある外国法人等)への寄附金も租税特別措置法により全額損金不算入とされており、移転価格税制と並ぶ国際課税上の重要規定です。

一般寄附金の損金算入限度額の計算方法

一般寄附金の損金算入限度額は、資本金等の額と所得金額の両方を用いた計算式で算出されます。計算式と各要素の意味を正確に理解することが、適正な申告書作成の基本です。

資本基準額は期末資本金等の額に0.25%を乗じる

資本基準額は「期末の資本金等の額 × 事業年度の月数 ÷ 12 × 2.5/1,000(0.25%)」で計算します。「資本金等の額」とは法人税法上の概念で、資本金(払込資本)に資本剰余金を加えた金額が概ねの目安ですが、正確な金額は税務上の資本金等の額(別表5(1)で管理)を参照します。

事業年度が12か月でない場合(設立年度や決算期変更時など)は、月数按分して計算します。資本金等の額が大きい法人ほど資本基準額が大きくなりますが、全体に占める割合は小さく、所得基準額のほうが限度額に与える影響が一般的に大きくなります。

所得基準額は当期の所得金額に2.5%を乗じる

所得基準額は「当期の所得金額(仮計) × 2.5/100(2.5%)」で計算します。ここでの「所得金額(仮計)」とは、寄附金の損金不算入額を加算調整する前の所得金額です。具体的には、会計上の税引前利益に各種の加算・減算調整を加えた段階の金額で、別表4の仮計欄の金額を指します。

所得金額がゼロまたはマイナス(欠損)の場合、所得基準額はゼロとなります。その場合は資本基準額のみで限度額が計算されるため、損金算入できる金額は非常に少額となります。

合計額に4分の1を乗じて算出する限度額

損金算入限度額は「(資本基準額 + 所得基準額) × 1/4」で算出します。資本基準額と所得基準額の合計額の4分の1が上限です。この限度額を超えた支出は損金不算入となり、課税所得に加算されます。

特定公益増進法人への寄附金については別枠で限度額を計算するため、一般寄附金の限度額には含めて計算しません。ただし、特定公益増進法人への寄附金が特定公益増進法人の限度額を超えた部分は、一般寄附金の限度額で扱います。

計算例で見る限度額と損金不算入額の算出

たとえば、期末資本金等の額5,000万円・事業年度12か月・当期所得金額(仮計)2,000万円の法人が一般寄附金を150万円支出した場合の計算を示します。資本基準額=5,000万円×12/12×2.5/1,000=12.5万円。所得基準額=2,000万円×2.5/100=50万円。合計62.5万円×1/4=15.625万円(約15.6万円)が損金算入限度額です。

寄附金支出額150万円から損金算入限度額15.6万円を差し引いた約134.4万円が損金不算入額となり、この金額を別表4で課税所得に加算します。このように、一般寄附金の限度額は資本規模や所得水準によって変動し、多額の寄附を行っても損金算入できる金額は限られることがわかります。

特定公益増進法人への寄附金の損金算入限度額

特定公益増進法人への寄附金は、一般寄附金とは別枠の算入限度額が設けられています。より高い限度額が適用されるため、公益性の高い法人への寄附を積極的に行う企業にとってメリットがある区分です。

一般寄附金とは別枠で計算される仕組み

特定公益増進法人への寄附金は、一般寄附金の損金算入限度額とは別に、独自の限度額が設定されています。これを「特別損金算入限度額」といいます。特定公益増進法人への寄附金のうち特別損金算入限度額の範囲内のものを先に算入し、残額(限度超過分)があれば一般寄附金の限度枠に合算して処理します。

この別枠の仕組みにより、公益目的の高い法人への寄附は一般寄附金より多く損金算入できる設計になっています。ただし、どちらの枠も課税所得が低い・資本金が小さい法人では絶対額として小さな限度額になるため、支出前に試算することが重要です。

資本基準額は0.375%・所得基準額は6.25%

特定公益増進法人への寄附金の特別損金算入限度額は「(期末資本金等の額 × 月数/12 × 3.75/1,000 + 当期所得金額(仮計) × 6.25/100) × 1/2」で計算します。一般寄附金の計算に比べ、資本基準額の割合が0.25%→0.375%、所得基準額の割合が2.5%→6.25%と高く設定されており、乗じる係数も1/4→1/2と大きいため、限度額は一般寄附金より大きくなります。

先ほどの計算例(資本金等5,000万円・所得2,000万円)で試算すると、特別損金算入限度額は(18.75万円+125万円)×1/2≒71.9万円となり、一般寄附金の限度額(15.6万円)の約4.6倍の水準です。

該当する法人の確認方法と注意点

特定公益増進法人に該当するかどうかは、法人税法施行令第77条に定める法人の種類(独立行政法人、公益社団・財団法人、学校法人等)に含まれるかを確認します。ただし、公益社団・財団法人であっても、公益認定を受けていないものは該当しません。

国税庁が公表する「特定公益増進法人の証明書」の発行を受けている法人への寄附が対象となります。寄附先から証明書(または写し)を受け取り、申告書に添付(または保管)することが求められます。証明書の有効期限内であることも確認が必要です。

寄附金の損金不算入を法人税申告書で処理する方法

寄附金の税務処理は、申告書の複数の別表を連動させて行います。主な記載箇所は「別表14(2)」と「別表4」で、両者の連動を正しく把握することが適正申告の要点です。

別表4での加算調整の記載方法

別表4「所得の金額の計算に関する明細書」では、会計上の利益をもとに税務上の課税所得を算出します。寄附金の損金不算入額は、「加算(社外流出)」の欄に記載します。「社外流出」として処理する理由は、損金不算入となった寄附金が法人外部(寄附先)へ流出しており、法人内に留保されていないためです。

別表14(2)で計算した損金不算入額を、別表4の所定の欄(寄附金の損金不算入額)に転記します。加算することで会計上の利益に損金不算入額が上乗せされ、課税所得が増加します。

別表14(2)に記載する寄附金の区分と金額

別表14(2)「寄附金の損金算入に関する明細書」は、寄附金の区分ごとに支出額を整理し、損金算入限度額を計算して損金不算入額を算出する書類です。国・地方公共団体への寄附金(全額算入)、指定寄附金(全額算入)、特定公益増進法人への寄附金(別枠計算)、一般寄附金(限度額計算)の順に整理して記載します。

各区分の支出額、限度額、算入額、不算入額を正確に記載することが求められます。別表14(2)での計算結果が別表4の調整額に直結するため、記載ミスは課税所得の誤りに直結します。申告書作成時には別表14(2)から先に処理し、結果を別表4に転記する順序で進めると整理しやすくなります。

会計仕訳と税務調整の連動ポイント

会計上は「寄附金(費用) / 現金・預金」として全額費用計上します。税務上はこのうち損金不算入額を別表4で加算調整します。会計帳簿上の仕訳には税務調整を直接書き込まず、あくまで申告書の別表で調整する形をとります。

税効果会計を適用している法人では、損金不算入額のうち将来解消されない永久差異(寄附金の損金不算入は原則永久差異)として繰延税金資産・負債を計上しないことが一般的です。税効果会計の観点からも、寄附金の会計・税務処理の整合性を確認することが重要です。

寄附金と交際費・広告宣伝費の区別

実務上、支出の性質によって「寄附金」「交際費」「広告宣伝費」のいずれに該当するかが曖昧になるケースがあります。それぞれの判定基準と典型例を理解しておくことが税務リスク回避に不可欠です。

事業との関連性が判定基準

寄附金と交際費・広告宣伝費の最大の違いは「事業との関連性」です。交際費は取引先・得意先・仕入先など事業上の関係者に対する接待・贈答・慶弔など、事業関係を維持・強化するための支出です。広告宣伝費は不特定多数に向けた宣伝・PR目的の支出で、いずれも事業への直接的な効果が期待されます。

これに対し、寄附金は対価性がなく、業績向上を直接の目的としない支出です。同じ金銭を特定の団体に渡す場合でも、事業目的・見返りの有無・相手方の性質によって区分が異なります。判定に迷う場合は支出の目的・経緯・契約内容等を文書で記録しておくことが重要です。

町内会の協賛金や慶弔費の区分の考え方

町内会・自治会への協賛金や祭礼への負担金は、地域との関係維持を目的とすることが多いですが、対価性が薄いため一般的に寄附金として処理します。ただし、地域住民を対象とした広告宣伝的な効果が明確な場合は広告宣伝費として処理できる場合もあります。

取引先への慶弔費(香典・祝儀等)は交際費として扱います。従業員への慶弔費は福利厚生費です。同じ「慶弔費」でも相手方によって区分が変わるため、支出時に相手方を確認して記録することが実務上のポイントです。

区分判定を誤った場合の税務リスク

区分を誤ると、損金算入できる金額に差が生じ、税務調査で否認されるリスクがあります。たとえば、本来は交際費とすべき支出を寄附金として処理した場合、交際費の損金算入限度額(中小法人は年800万円まで全額算入可能)を活用できず、また寄附金の限度額計算も狂います。

逆に、寄附金とすべき支出を広告宣伝費として処理した場合、全額損金算入としている点が指摘対象になりえます。税務調査では支出の実態をもとに区分を再判定されるため、判断根拠を文書化しておくことが最善の対策です。

企業版ふるさと納税は損金算入と税額控除を併用できる

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、地方公共団体が実施する地方創生プロジェクトに対して法人が寄附を行う制度です。通常の寄附金と異なり、損金算入に加えて税額控除も受けられる点が最大の特徴です。

地方公共団体への寄附として全額損金算入の対象

企業版ふるさと納税による寄附金は、法人税法第37条第3項第1号の「地方公共団体への寄附金」として全額損金算入の対象となります(一般寄附金の限度額とは別枠)。寄附金全額を費用として損金算入できるため、損金算入の観点だけでも法人実効税率分(おおむね30%前後)の節税効果が生じます。

ただし、企業版ふるさと納税として全額損金算入が認められるのは、都道府県・市区町村の「地方創生のまち・ひと・しごと創生寄附活用事業」として登録されたプロジェクトへの寄附であることが要件です。また、主たる事務所が所在する都道府県・市区町村への寄附は対象外となっている点も注意が必要です。

法人税・法人住民税・法人事業税からの税額控除

企業版ふるさと納税では、損金算入に加えて法人税・法人住民税(法人税割)・法人事業税(法人事業税割)からの税額控除を受けることができます(令和2年度税制改正により拡充)。税額控除は寄附金額に対して一定割合を直接税額から差し引く強力な節税手段です。

控除の割合は各税目によって異なり、また各税目の税額を上限とする制限があります。具体的な控除率・上限については税制改正後も見直しが行われる場合があるため、寄附を実行する前に最新の制度内容を国税庁・総務省の資料または税理士に確認することをおすすめします。

損金算入と税額控除の併用で最大約9割の負担軽減

企業版ふるさと納税は、損金算入による節税(法人実効税率分)と、法人税・法人住民税・法人事業税からの税額控除を組み合わせることで、寄附金額に対して最大約9割相当の税負担が軽減できるとされています。実質的な企業の負担は寄附金額の約1割程度になる計算です。

ただし「最大約9割」は各税目の税額を上限とする制限があり、法人の課税状況によって実際の軽減率は異なります。利益が少ない期や繰越欠損金がある場合は十分な税額控除の恩恵を受けられない場合もあります。

活用にあたっての要件と注意点

企業版ふるさと納税を活用するには、寄附先プロジェクトが適切な認定を受けていること(国のデータベースで確認可能)、1回あたりの寄附金額が10万円以上であること、寄附法人が経済的な利益(返礼品等)を受けないことが要件です。寄附先の自治体とのマッチングや、手続きに不慣れな場合は専門のプラットフォームを活用することで、適切な寄附先の選定から書類準備まで一括でサポートを受けることができます。

まとめ

寄附金の損金不算入は、会計上の費用と税務上の損金の差異として生じます。損金算入できる金額は区分によって異なり、国・地方公共団体・指定寄附金は全額算入、特定公益増進法人は別枠の限度額内で算入、一般寄附金は資本金等と所得をもとに計算した限度額内での算入となります。

申告書では別表14(2)で限度額を計算し、損金不算入額を別表4で加算します。企業版ふるさと納税は全額損金算入に加え税額控除も受けられるため、法人の地域貢献と節税を両立できる有力な制度です。

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