企業版ふるさと納税の寄附実績は?メリットや活用事例も紹介
企業版ふるさと納税は、企業が地方自治体に寄附を行い、地域課題の解決や活性化を支援する制度です。近年、企業の参加が大幅に増加しており、地域の課題解決に向けた取り組みが進んでいます。
この記事では、企業版ふるさと納税の実績や活用事例などを紹介します。
企業版ふるさと納税とは?

企業版ふるさと納税とは、企業が地方自治体に対して寄附を行い、地域の活性化や課題解決に貢献する制度のことです。
企業は地域貢献を通じて自社の社会的責任を果たすと同時に、企業イメージや信頼性の向上に繋げられます。一方、地域側は企業からの支援を受けられるため、地域課題の解決や行政施策の推進ができ、持続可能な発展を図ることが可能です。
なお、企業版ふるさと納税には「寄附型」と「人材派遣型」の2種類があり、下記のように特徴が異なります。
| 寄附型 | 人材派遣型 | |
| 内容 | 企業が金銭的な寄附を行う | 企業が自社の人材を地域に派遣する |
| 活用先 | 地域のプロジェクトや事業(インフラ整備、生活支援など) | 地域の課題解決に向けた支援活動(専門知識・スキルの提供など) |
| 目的 | 地域の発展や住民の生活向上に貢献 | 地域のニーズに対応した人材支援、人材育成に貢献 |
企業版ふるさと納税を活用するメリット

企業版ふるさと納税は、企業が地域社会に貢献しながら自社の成長を促進するための有効な手段です。この制度を活用することで、得られるメリットは多岐にわたります。
ここでは、企業版ふるさと納税を活用するメリットを紹介します。
社会貢献できる
企業版ふるさと納税は、企業が地域社会の課題解決に貢献するための有効な制度です。
例えば、IT企業が教育環境の整備を目的に地方自治体に寄附を行い、地域の学校にタブレット端末を提供したとします。この取り組みによって、企業は教育や福祉、環境といった分野で社会的責任を果たし、地域の発展に貢献することが可能です。
寄附に対して税制上の優遇も受けられるため、企業は社会的価値の創出と経済的利益の両立を図れます。
パートナーシップを構築できる
企業版ふるさと納税は、単なる寄附にとどまらず、地域との強固なパートナーシップを築く機会を作れます。企業版ふるさと納税におけるパートナーシップとは、共通の目的に向かって協力し合う関係のことです。
例えば、企業が地域の観光事業に協力し、地元の特産品を使った商品開発やイベントを共に企画・実施することで、地域の経済活性化に貢献できます。企業は地元住民や行政との信頼関係を深められるため、将来的なビジネス展開の可能性を広げられるでしょう。
さらに、地域のニーズに応じた商品やサービスの展開は、企業のブランド価値を高め、CSRの実践にも直結します。
新規事業を展開できる
企業版ふるさと納税は、地域との繋がりを通じて新たな事業のチャンスを広げる制度です。例えば、食品メーカーが寄附をきっかけに地方自治体と協力し、地元の農産物を使った商品を共同開発するケースです。
企業は地域資源や住民のニーズを直接知ることで、新しい商品やサービスのヒントを得られます。この取り組みは、新規事業の立ち上げに繋がるだけでなく、地域にとっても雇用や観光の活性化などのメリットを生み出します。
企業版ふるさと納税の寄附実績

企業版ふるさと納税の近年の寄附実績を見てみると、企業の参加が増加しており、地域の課題解決に向けた取り組みが進んでいます。 特に、年度ごとの寄附金額は年々増加傾向にあり、企業の社会的責任(CSR)への意識の高まりが反映されています。
ここでは、企業版ふるさと納税の寄附実績について具体的に紹介します。
年度別の寄附実績
企業版ふるさと納税の年度別の寄附実績は、下記のように年々増加傾向にあります。
| 年度 | 寄附件数 | 寄附額(百万円) | 寄附企業数 |
| 平成28年 | 517 | 747 | 459 |
| 平成29年 | 1,254 | 2,355 | 1,112 |
| 平成30年 | 1,359 | 3,475 | 1,138 |
| 令和元年 | 1,327 | 3,380 | 1,117 |
| 令和2年 | 2,249 | 11,011 | 1,640 |
| 令和3年 | 4,922 | 22,525 | 3,098 |
| 令和4年 | 8,390 | 34,107 | 4,663 |
| 令和5年 | 14,022 | 46,999 | 7,680 |
出典:地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の寄附実績について「年度別の寄附実績」
企業版ふるさと納税の寄附額は、2018年度以降急速に伸びており、地域課題への企業の関心が高まっていることがわかります。特に、2021年度には約225億円の寄附が集まり、前年度から2倍以上の増加を記録しました。
2020年度は新型コロナウイルスの影響もあり、下記の分野への支援が強化され企業による社会的責任(CSR)活動の一環としての寄附が目立ちました。
- 医療
- 福祉
- 教育
また、地域の特産品を活かした商品開発や観光振興など、寄附をきっかけに地域と連携したプロジェクトを展開する事例も増えています。年度別の寄附実績は、企業と地域の関係性を可視化する重要な指標であり、今後の地方創生においても大きな役割を果たすでしょう。
寄附金額が多い地方公共団体(上位10)
企業版ふるさと納税の寄附金額が多い地方公共団体は、下記の通りです。
| 地方公共団体 | 寄附件数 | 寄附額(百万円) |
| 宮城県 | 26 | 2,579.5 |
| 宮城県仙台市 | 18 | 2,404 |
| 石川県 | 1,026 | 2,308 |
| 静岡県裾野市 | 4 | 2,251.7 |
| 群馬県太田市 | 19 | 2,221 |
| 島根県松江市 | 16 | 1,525 |
| 大阪府 | 54 | 688.6 |
| 北海道 | 48 | 639.3 |
| 群馬県前橋市 | 38 | 571.5 |
| 広島県東広島市 | 27 | 561.2 |
出典:地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の寄附実績について「寄附受入額が多い地方公共団体」
企業版ふるさと納税で寄附額が多い地方公共団体は、宮城県や石川県、群馬県太田市など、企業との接点づくりやプロジェクト提案力に優れた地域が目立ちます。これらの自治体は、継続的な情報発信や企業向けの窓口体制を整備するなど、受け入れの環境づくりに積極的です。
都市部からのアクセスや産業基盤の有無も、企業の関心を集めている要素です。また、寄附後の報告書や現地視察の機会を提供するなど、企業が成果を実感しやすい工夫も見られます。こうした取り組みが、継続的な支援につながっており、他地域にも波及しつつあります。
寄附金の使い途(事業分野別)
企業版ふるさと納税で寄附された資金は、国が認定した地域再生計画に基づき、地域の実情に応じたさまざまな事業に活用されています。具体的には、下記に分類されており、中には教育・福祉・環境・観光などの施策も含まれます。
| 事業分野 | 寄附活用額(百万円) |
| しごと創生 | 21,490 |
| 地方への人の流れ | 4,508.3 |
| 働き方改革 | 2,922.7 |
| まちづくり | 18,158.7 |
出典:地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の寄附実績について「人材派遣型の活用実績」
例えば、地域によっては学校施設の整備支援や観光イベントの企画、自然保全活動などが行われており、地域の課題解決と持続可能な発展を後押ししています。
企業版ふるさと納税の3つの活用事例集

企業版ふるさと納税は、地域の課題解決や新たなビジネス展開に寄与するだけでなく、企業自身の成長にも繋がる制度です。
ここでは、企業版ふるさと納税の活用事例を3つ紹介します。
ヤフー株式会社|カーボンニュートラル支援で社会貢献
ヤフー株式会社(現LINEヤフー)は、企業版ふるさと納税を活用し「カーボンニュートラル」をテーマにした寄附活用事業の公募を国内で初めて実施しました。この取り組みにより、全国8つの地方自治体が採択され、LINEヤフーは各自治体と対話を重ねながら伴走支援を行っています。
事業内容は自治体ごとに異なるものの、地域の脱炭素や再生可能エネルギー推進など、持続可能なまちづくりを目的としたプロジェクトが進められています。LINEヤフーはこの活動を通じて、CSRの実践と企業価値の向上を両立しています。
参考:LINEヤフー「地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」
アステリア株式会社|アプリ開発で自治体とパートナーシップを構築
アステリア株式会社は、企業版ふるさと納税を活用し、熊本県小国町と継続的な連携を行っています。森林保全活動の支援をはじめ、町職員との定期的な勉強会やICT活用による業務効率化を進めてきました。
特に、同社のモバイルアプリ「Platio」を用いた体温管理アプリや災害対応アプリの導入は、新型コロナ対策や豪雨被災時の現場対応を大幅に効率化しました。この取り組みは、自治体との信頼関係に基づくパートナーシップの象徴であり、企業が自社の強みを活かして地域課題の解決に貢献する好事例となっています。
参考:アステリア株式会社「企業と自治体が目指す新しいパートナーシップ」
マクアケ株式会社|自治体と連携し新規事業を展開
マクアケ株式会社は、ふるさと納税型クラウドファンディング「Makuakeガバメント」を通じて、地方自治体のプロジェクト立ち上げを支援しています。自治体が実行者となり、下記のような地域課題に取り組むプロジェクトを展開しました。
- 河川環境の再生
- 商店街の活性化
- アスリート育成
- 観光施設の改修 など、
寄附者は返礼品を受け取れるだけでなく、寄附金の使い道が明確な点も特長です。この取り組みにより、マクアケは地域経済の活性化や行政の課題解決に貢献しており、クラウドファンディングを通じた地方創生の新たなモデルとして注目されています。
参考:マクアケ「地方自治体向けふるさと納税型クラウドファンディング「Makuakeガバメント」提供開始のお知らせ」
まとめ
企業版ふるさと納税は、企業が地域社会に貢献しつつ自社の成長も図れる制度です。金銭的な寄附を通じて地域課題の解決に貢献し、社会的責任を果たすとともに、地域とのパートナーシップを深められます。
地域との協働を検討する企業にとって、企業版ふるさと納税は第一歩となる選択肢です。社会課題の解決と企業の成長を同時に実現するこの制度を、自社の戦略に取り入れてみてください。