公募型企業版ふるさと納税とは?実施する際の流れや活用事例を紹介
地域貢献をしたいが、どこに・どう寄付すればいいか悩んでいる企業もあるでしょう。
公募型企業版ふるさと納税は、そうした企業の思いを地域のニーズとつなげる新しい仕組みです。
本記事では、公募型企業版ふるさと納税の概要や実施の流れをわかりやすく解説するとともに、実際に取り組んだ企業の活用事例も紹介します。
公募型企業版ふるさと納税とは?

公募型企業版ふるさと納税とは、寄附を希望する企業側が、自社の想いや取り組みに合った自治体を募集・選定する制度のことです。
一般的な企業版ふるさと納税では、自治体や仲介事業者が寄附企業を募るケースが多く見られます。それに対して、公募型では企業側が寄附先の自治体を募集し、共感や連携を前提とした地域貢献を実現します。
まだ認知度は高くない取り組みではあるものの、企業側の主体的な姿勢が評価される新たなモデルとして注目され始めています。
公募型企業版ふるさと納税の活用事例

公募型企業版ふるさと納税では、自治体の寄附募集力が強化され、企業の社会貢献や地域との協働がより一層進むことが期待されています。実際にこの仕組みを活用した企業の事例をいくつか紹介します。
ソーシャル・エックス|スポーツチーム支援で地域活性化を実証
株式会社ソーシャル・エックスは、官民共創による新規事業開発プラットフォーム「逆プロポ」を活用し、スポーツチームを支援することで地域課題の解決を目指す実証実験プロジェクトを開始しました。
このプロジェクトは、個人版および企業版ふるさと納税を活用し、地域のスポーツチームを支援することを目的としています。背景には、多くのスポーツチームが抱える「活動費の捻出」という課題があります。
遠征費や練習機材の購入、コーチへの人件費など、必要な資金は多岐にわたりますが、特にアマチュアチームでは資金調達が難しい状況です。
一方、自治体にとっても強いスポーツチームを育成することは、地域の誇りや住民の健康増進、さらには地域課題の解決に繋がる重要な要素です。
このような課題を解決するため、博報堂は自治体と連携し、スポーツチームの支援を通じて地域活性化を図るプロジェクトを立ち上げました。
自治体は、スポーツチームの支援を通じて地域の特色を強化し、観光や教育、福祉などの分野でも新たな価値を創出することが期待されています。
参考:株式会社PRTIMES「【ソーシャル・エックス】スポーツチームを支援しながら地域課題の解決を考えたい自治体を博報堂が「逆プロポ」で募集開始」
アサヒビール|“スマートドリンキング”推進で10自治体に1,000万円寄付
アサヒビール株式会社は、2024年から実施する企業版ふるさと納税第3弾として、「スマートドリンキングの推進」をテーマに、10の地方公共団体に各1,000万円、計1億円を寄付することを発表しました。
寄付先には、群馬県片品村、新潟県湯沢町、静岡県熱海市、愛知県豊橋市、三重県鳥羽市、京都府宇治市、大阪府岸和田市、鳥取県倉吉市、福岡県嘉麻市、長崎県平戸市が選定されています。
アサヒビールは、飲む人も飲まない人もお互いを尊重し合える社会の実現を目指し、「スマートドリンキング(飲み方の多様性)」を提唱しています。
この取り組みでは、地方公共団体と連携し、新しい飲酒文化の創造や飲酒に関する社会課題の解決を目指しています。公募は4月1日から5月7日まで行われ、38の地方公共団体から応募がありました。
寄付の実施にあたっては、企業版ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとコネクト」を運営する株式会社JTBがサポートを行い、具体的な企画については各地方公共団体とアサヒビール、JTBが協議していくことになります。
アサヒグループは、豊かな社会の実現に向けて「環境」「コミュニティ」「責任ある飲酒」「健康」「人権」の5つの重要課題に取り組んでおり、今回の寄付を通じて「スマートドリンキング」の推進をさらに強化していく方針です。
参考:アサヒビール株式会社「公募による企業版ふるさと納税第3弾の寄付先決定
「スマートドリンキングの推進」をテーマに10自治体に計1億円を寄付」
Yahoo(旧ZHD)|カーボンニュートラル促進で初の全国公募
Yahooは、2021年4月1日より「Yahoo!JAPAN 地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」として、企業版ふるさと納税の寄付先となる自治体の公募を開始しました。
このプロジェクトは、国内の脱炭素化を促進するために、自治体が行うカーボンニュートラルに向けた地方創生の取り組みを支援することを目的としています。寄付額や寄付先の自治体数に上限は設けられておらず、企業が地域のニーズに応じた支援を行うことが可能です。
当時、公募の対象となったのは、2021年度の事業であり、申請者は特定の要件を満たす必要がありました。
具体的には、カーボンニュートラルに向けた地方創生の取り組みが地域再生計画として内閣府に認定されていること、定期的に寄付結果の報告が行えること、そして東京都および千代田区以外の地方公共団体であることが求められました。
対象となる取り組みは、再生可能エネルギーの推進や炭素固定など、脱炭素を主目的としたものでなければなりません。
このプロジェクトについて、2023年度以降の寄付公募は休止となっており、今後の支援方法については検討中のようです。
参考: LINEヤフー株式会社「地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」
IDOM|環境配慮型モビリティを寄付する自治体を全国公募
株式会社IDOMは、企業版ふるさと納税を活用した「循環型社会応援プロジェクト」を立ち上げ、全国の地方公共団体を対象に環境配慮型モビリティの寄付先を公募しています。
このプロジェクトでは、温室効果ガスの排出量削減に寄与するハイブリッド車や電動車などの燃費の良い中古車を、地方自治体の公用車や福祉車両として寄付することを目的としています。
IDOMは、創業30周年を迎える中古車業界のリーディングカンパニーであり、地域のニーズに応える形でこのプロジェクトを進めています。
地方公共団体の中には、約30年前のモデルを使用しているケースもあり、最新の環境配慮型車両に置き換えることで、燃費の向上やCO2排出量の削減が期待されます。
公募は2024年10月18日から10月25日まで行われ、環境に関する取り組みを実施している全国の地方公共団体が対象となりました。IDOMは、この取り組みを通じて持続可能な社会の実現に貢献し、地域課題の解決にも寄与することを目指しています。
参考:株式会社バリュープレス「IDOMが「企業版ふるさと納税の寄付先自治体」を公募!「環境配慮型モビリティを届けるプロジェクトを開始!」
大東建託|「未来をひらく地方創生応援プロジェクト」企業版ふるさと納税寄付先を公募
大東建託株式会社は、創業50周年を記念して、2024年6月20日から8月30日までの期間に、全国の自治体を対象にした企業版ふるさと納税の寄付先を公募する「未来をひらく地方創生応援プロジェクト」を開始しました。
このプロジェクトでは、総額約1億7,000万円を16の地方公共団体に寄付することが決定されています。応募があった94の地方公共団体から寄付先として選定された自治体には、北海道名寄市や岩手県住田町、埼玉県秩父市、千葉県富津市などが含まれています。
これらの自治体は、防災・災害復興、循環型社会、高齢化対策、地域活性化といった社会課題に取り組む地方創生事業を展開しており、大東建託はこれらの事業を支援することで、地域社会の持続的な成長を目指しています。
本プロジェクトは、大東建託が掲げる中期ビジョン「VISION2030」の一環として位置づけられており、地域のニーズに応じた支援を行うことで、企業と地域社会の相互成長を図ることを目的としています。
参考:大東建託株式会社「企業版ふるさと納税で全国公募により寄付先を決定」
まとめ
公募型企業版ふるさと納税は、企業が寄附先の自治体を自ら募ることで、地域課題と企業の社会的責任を結びつける新たな仕組みです。
実際に、スポーツ振興や環境対策といった多様な分野で活用され、企業と地域の双方にメリットをもたらしています。今後、こうした先進的な連携がさらに広がることで、地域活性化の新たなモデルとして注目が高まっていくでしょう。