企業版ふるさと納税でSDGsに貢献!メリットと事例を紹介
企業版ふるさと納税は、企業が社会課題に貢献しながら税制優遇も受けられる制度です。地域の課題解決や人材育成など、さまざまなプロジェクトへの支援を通じて、SDGsの目標達成にも貢献できる点が注目されています。
この記事では、企業版ふるさと納税とSDGsの関係や、他の企業の取り組み事例などについて紹介します。
企業版ふるさと納税とSDGsの関係

企業版ふるさと納税は、企業が地域の課題解決に向けて寄附を行うことで税制優遇を受けられる制度であり、SDGs達成への有効なアプローチとして注目されています。例えば、地域インフラ整備や教育支援といったプロジェクトへの参画は「住み続けられるまちづくりを(目標11)」に直結します。
企業と自治体が協力して取り組む姿勢は「パートナーシップで目標を達成しよう(目標17)」に繋げることも可能です。高知県では、各事業に関連するSDGsのゴールが明示されており、企業は自社の理念に合った地域支援を選べます。
参考:ユニセフ「SDGsってなんだろう?」・高知県「企業版ふるさと納税 主な活用事例」
企業版ふるさと納税でSDGsに取り組む3つのメリット

企業版ふるさと納税は、地域の課題解決に貢献しながら、企業にも多くのメリットをもたらします。特に、SDGsへの取り組みを通じて、企業が得られる利点は大きいでしょう
ここでは、企業版ふるさと納税でSDGsに取り組む3つのメリットについて紹介します。
新規事業を展開できる可能性がある
企業版ふるさと納税を活用すると、新規事業を展開できる可能性があります。寄附を通じて地域資源や課題を深く理解することで、地域密着型の事業を展開できるでしょう。
例えば、下記のような事業展開が考えられます。
- 農産物を使った商品開発
- 空き家活用による宿泊事業
- 過疎地向けの遠隔医療サービス など
このような取り組みは、行政や住民との連携が得やすいため、事業実装も円滑に進むでしょう。また、地域で得た知見は都市部では得られないマーケティング資産にもなり、事業戦略の幅を広げます。
企業版ふるさと納税は、税制優遇やSDGsの達成だけでなく、地域との共創を通じて企業の成長を後押しする制度です。
パートナーシップを構築できる
企業版ふるさと納税を活用すれば、地域の自治体や関係団体とパートナーシップを構築できます。これは、企業が地域の課題解決に主体的に関わることにより、継続的な連携が生まれやすくなるためです。
例えば、教育支援や環境保全のプロジェクトに対して、企業が寄附とあわせて自社の技術や人材を提供すれば、共同事業としての関係が構築されます。資金提供だけでなく、実務レベルでの協力が信頼関係を強められます。
企業にとって、パートナーシップは社会貢献と事業成長を両立させる重要な基盤となるでしょう。
企業価値を向上できる
企業版ふるさと納税は、企業のブランド価値や社会的信頼を高める有効な手段です。地域課題への取り組みは、CSRやSDGsへの貢献として評価されるほか、顧客や取引先、投資家からの信頼獲得にも繋がります。
例えば、ある企業は地域の子どもたちの学習支援活動に寄附し、学習環境の整備に協力しました。別の企業は、高齢者の移動を支援する地域バスの導入費用を支援しています。
こうした活動は、地域社会からの信頼を得ると同時に、企業が「社会に必要とされる存在」であることを示すものです。企業版ふるさと納税は、単なる寄附にとどまらず、企業の社会的価値と成長力を同時に高める制度といえるでしょう。
企業版ふるさと納税でSDGsに取り組む際の注意点

企業版ふるさと納税の寄附先は、すべての自治体が対象ではありません。下記のような自治体は対象外なため、活用前に、寄附先が対象団体であるかどうかを必ず確認しましょう。
- 本社が所在する自治体への寄附
- 地方交付税の不交付団体である東京都
- 三大都市圏に位置する市区町村(例:東京23区やその周辺市部など)
また、寄附に対して経済的な見返りを受け取ることは禁止されています。例えば「寄附の見返りに補助金を受ける」「低利での融資を受ける」などの行為は制度違反です。
企業は寄附の目的が社会貢献であることを明確にし、見返りを求めない姿勢を持ちましょう。
企業版ふるさと納税を活用したSDGsの取り組み事例5選

企業がどのように企業版ふるさと納税を活用してSDGsに取り組んでいるのか、具体的に知りたい方もいるでしょう。続いて、企業版ふるさと納税を活用したSDGsの取り組み事例を5つ紹介します。
三井E&Sホールディングス|創業地を支援
三井E&Sホールディングスは、企業版ふるさと納税を活用し、創業の地・岡山県玉野市の「たまの版地方創生人財育成プロジェクト」を支援しています。本プロジェクトは、地域産業を担う若年人材の育成と、地元での就労促進を目的としたもので、下記のSDGs目標に貢献する取り組みです。
- 目標4「質の高い教育をみんなに」
- 目標8「働きがいも経済成長も」
同社は総額1億円を支援し、工業系学科を新設した玉野商工高等学校への設備提供や技術者の派遣など、実践教育の環境整備に貢献しています。同校の機械科は日本で初めて企業の実習施設を活用した学科として設立され、注目を集めています。
この取り組みは、地域に根ざした持続可能な人材育成モデルとして評価され、内閣府の地方創生大臣表彰も受賞しました。初年度から玉野市のみならず、近隣の岡山市や倉敷市からも生徒が集まり、地域全体の活性化にも繋がっています。
参考:三井E&S「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰受賞について」
SUBARU|自然環境保護の取り組みを支援
SUBARU(旧・富士重工業)は、企業版ふるさと納税を活用し、群馬県の環境保全活動に対して1億円を寄附しました。支援対象は、内閣府認定の地方創生プロジェクト「豊かなぐんまの環境を未来につなぐプロジェクト」であり、SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」に直結する取り組みです。
寄附金は、尾瀬国立公園を中心とした環境整備や環境学習活動に活用され、地域の自然環境保全に貢献しています。SUBARUは地球環境を重要な経営課題と位置づけており、企業としての社会的責任を果たすとともに、持続可能な地域社会の形成を支援しています。
参考:SUBARU「富士重工業 群馬県の環境活動に対して寄付」
チューリッヒ|人材育成を支援
チューリッヒ保険会社は、企業版ふるさと納税を活用し、長崎県の若者の雇用促進と定着支援に取り組んでいます。若年層の人口流出という地域課題の解決を目的とした施策であり、下記のSDGs目標との関連が深い取り組みです。
- 目標4「質の高い教育をみんなに」
- 目標8「働きがいも経済成長も」
具体的には、長崎オフィスに新卒入社した社員のうち、在学中に貸与型奨学金を受給していた人に対して、5年間毎年10万円を支給する制度を導入しました。奨学金返済の負担を軽減し、地元での正社員雇用と定着を後押ししています。
この施策は「地域の将来を担う若者の人材育成支援プロジェクト」の一環として、2016年から企業版ふるさと納税制度を通じて実施されています。
参考:チューリッヒ保険会社「長崎オフィス 新卒入社の社員を対象に奨学金返済支援制度を新設」
ツルハ|被災地を支援
ツルハは、企業版ふるさと納税を通じて、福島県の復興と地域活性化を支援しています。
取り組みの中心は「新生Jヴィレッジ」を活用した地方創生プロジェクトであり、東日本大震災の被災地である双葉地域への交流人口の創出や、雇用促進を目的としています。これは、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献するものです。
具体的には、平成28年度に約2,380万円、平成29年度には約2億円の寄附を行い、全天候型練習場の整備を支援しました。施設は2018年9月に供用開始され、年間60万人の利用が見込まれています。
さらに、県と連携して県外企業にも寄附を呼びかけ、被災地支援の輪を広げる役割も担っています。
Cygames|施設設備を支援
Cygamesは、企業版ふるさと納税を通じて、佐賀市のスポーツ施設整備を支援しています。これは、地域のスポーツ環境を整え、市民の健康増進と地域活性化を図る取り組みであり、下記のSDGs目標に貢献しています。
- 目標3「すべての人に健康と福祉を」
- 目標11「住み続けられるまちづくりを」
寄附は、サガン鳥栖U-18が練習拠点とする「佐賀市健康運動センターサッカー・ラグビー場」の人工芝改修に充てられ、老朽化や夏季の高温対策への対応が進められています。
この支援は「スポーツで元気なまちプロジェクト」の一環であり、市民のシビックプライドの醸成と、地域に根ざしたスポーツ文化の発展を後押しするものです。
参考:Cygames「企業版ふるさと納税を活用して佐賀県佐賀市に寄付を実施」
まとめ
企業版ふるさと納税は、SDGsへの具体的な取り組みを可能にし、企業と地域の双方に持続可能な価値をもたらす制度です。寄附による地域支援は、社会貢献に加え、新規事業やブランド力の向上にも繋がります。
企業版ふるさと納税の制度を理解し、自社のビジョンと親和性のある地域やプロジェクトを見つけてみてください。