ふるさと納税は何税から控除される?所得税と住民税それぞれの仕組みを紹介
ふるさと納税をすると「税金が安くなる」と聞いても、具体的にどの税金から控除されるのかがわからないと、実際に恩恵を受けているのかどうか確認しにくいものです。
ふるさと納税で軽減される税金は、所得税と住民税の2種類です。この記事では、それぞれの税金がどのような仕組みで軽減されるのか、申告方法の違いや確認の方法まで詳しく解説します。
ふるさと納税は何税から控除されるのか

ふるさと納税は「寄附金控除」という仕組みを通じて税負担を軽減する制度です。どの税金から、どのような形で控除されるのかを正しく理解しておくことが、制度を最大限に活用するための前提となります。
対象となるのは所得税と住民税の2種類
ふるさと納税による控除の対象となる税金は、所得税と住民税の2種類です。この2つの税金から合わせて、寄附金額から自己負担の2,000円を差し引いた金額が控除されます。
所得税は国に納める税金であり、給与所得者の場合は勤務先が毎月の給与から源泉徴収して納付しています。住民税は居住する都道府県・市区町村に納める税金で、前年の所得をもとに計算され、翌年6月以降の給与から天引きされます(特別徴収の場合)。ふるさと納税は、この2つの税金をまたいで控除が行われる点が特徴です。
なお、ふるさと納税は「税金が安くなる制度」として紹介されることが多いですが、厳密には先払いした寄附金の一部が後から税金として還付・減額される仕組みです。控除を受けるためには確定申告またはワンストップ特例制度による申請が必須であり、何もしなければ控除は受けられない点を覚えておきましょう。
寄附金控除として税金が軽減される仕組み
ふるさと納税は、税法上は「特定寄附金」として扱われ、寄附金控除の対象となります。所得税では「所得控除」として課税所得を減らし、税額を間接的に下げる仕組みです。住民税では「税額控除」として、計算後の税額から直接一定額を差し引きます。
2つの税金で控除の方式が異なる点は、ふるさと納税の仕組みを理解するうえで重要なポイントです。所得控除は課税所得を圧縮する効果があり、税額控除は税額そのものを直接減らす効果があります。どちらも「寄附した分だけ税金が軽くなる」という結果につながります。
自己負担2,000円を除いた金額が控除対象
ふるさと納税では、寄附した金額の全額が控除されるわけではありません。控除の対象となるのは「寄附金額から2,000円を差し引いた金額」です。この2,000円は寄附者が必ず負担する「自己負担額」として設定されており、寄附先の自治体数や寄附回数にかかわらず一律です。
たとえば年間3万円を寄附した場合、控除の対象となるのは2万8,000円です。この金額が所得税と住民税に分けて控除され、合計で2万8,000円分の税負担が軽減されます。控除上限額の範囲内であれば、実質的な自己負担は2,000円のみになる仕組みです。
ふるさと納税で所得税が軽減される仕組み

所得税における控除の仕組みは「所得控除」として処理されます。税額から直接差し引く住民税の控除とは処理の方式が異なるため、それぞれの違いを正しく理解しておくことが重要です。
所得税では所得控除として処理される
ふるさと納税による所得税の軽減は「寄附金控除(所得控除)」として処理されます。所得控除とは、所得税の計算基礎となる課税所得の金額を減らす仕組みです。課税所得が減少することで、そこに適用される税率をかけた税額も下がります。
具体的には、「(寄附金額 − 2,000円)」が所得控除額として課税所得から差し引かれます。所得税の場合は税額控除ではなく所得控除であるため、軽減される税額は所得税率に依存します。所得税率が高いほど、所得税の還付額も大きくなる点が特徴です。
また、所得控除として処理されることで、課税所得そのものが下がります。これにより翌年の住民税の計算基礎にも間接的な影響が生じる点も、所得控除の特徴の一つです。
還付額の計算方法と適用される税率
所得税の還付額は「(寄附金額 − 2,000円) × 所得税率」で計算されます。たとえば寄附金額が5万円で所得税率が10%の場合、(5万円 − 2,000円) × 10% = 4,800円が所得税の還付額の目安となります。
所得税率は課税所得に応じて5〜45%の累進課税となっており、年収が高いほど適用税率も高くなります。そのため、年収が高い方のほうが所得税からの還付額が大きくなります。なお、復興特別所得税(2.1%)が加算される場合があるため、実際の還付額はこの税率も含めて計算されます。
一般的な給与所得者の多くは税率10〜20%の範囲に該当します。年収400万円・独身の場合の所得税率は概ね10%前後であり、たとえば寄附金額4万円に対する所得税からの還付額は(4万円 − 2,000円) × 10% = 3,800円程度が目安です。残りの控除は住民税から行われます。
還付金が手元に戻るタイミング
所得税の還付は、確定申告によって寄附金控除を申告した後に行われます。税務署が申告内容を処理したのち、指定した銀行口座へ還付金が振り込まれます。申告から振り込みまでの期間はおおむね1〜2か月程度が目安ですが、申告が集中する時期(2〜3月)は処理に時間がかかることもあります。
ワンストップ特例制度を利用した場合は、所得税からの還付は行われません。その分の控除額が住民税から一括して差し引かれる仕組みになっています。所得税の還付を受けたい方は、ワンストップ特例制度ではなく確定申告を選択する必要があります。
ふるさと納税で住民税が軽減される仕組み

ふるさと納税における住民税の控除は、所得税とは異なる「税額控除」という方式で行われます。基本分と特例分の2段階で構成されており、合計額が住民税から直接差し引かれます。
住民税では税額控除として処理される
住民税の控除は「寄附金税額控除」として扱われ、計算後の住民税額から直接一定額が差し引かれます。所得税の所得控除とは異なり、課税所得ではなく税額そのものを減らす点が特徴です。住民税の控除は「基本分」と「特例分」の2つから構成されています。
基本分の控除額の考え方
住民税の基本分は「(寄附金額 − 2,000円) × 10%」で計算されます。住民税の税率(所得割)は原則として一律10%であるため、控除額の計算は比較的シンプルです。この基本分は確定申告を行った場合に適用される控除です。
基本分だけで見ると控除額はやや小さく感じられますが、所得税の還付分と合算することで、寄附金額に見合った全体的な控除が実現します。基本分は確定申告と連動しているため、ワンストップ特例制度を利用した場合は適用されず、代わりに特例分として全額が住民税から控除されます。
なお、基本分は所得税の控除と組み合わせて設計されているため、確定申告を行う場合の控除の仕組みをしっかり理解しておくことが、実際の控除額を正確に把握するうえで大切です。
特例分の控除額の考え方
特例分は、ふるさと納税独自の上乗せ控除です。確定申告を行った場合は「(寄附金額 − 2,000円) × (90% − 所得税率 × 1.021)」という計算式で算出されます。ワンストップ特例制度を利用した場合は、所得税分の控除も含めた全額が住民税から差し引かれ、「(寄附金額 − 2,000円) × (100% − 10%)」に相当する金額が住民税から控除されます。
住民税が減額される時期
住民税の控除は翌年6月以降の住民税額に反映されます。会社員の場合、6月以降の給与から天引きされる住民税額が減額されることで控除の効果が現れます。住民税決定通知書(毎年5〜6月頃に配布)の「寄附金税額控除」欄に控除額が記載されているため、正しく反映されているかを確認できます。
申告方法によって変わる所得税・住民税の扱い

ふるさと納税の控除を受けるための申告方法には「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2種類があります。どちらを選ぶかによって、所得税と住民税それぞれからの控除の受け方が変わります。
確定申告では所得税と住民税の両方から軽減
確定申告を行ってふるさと納税の寄附金控除を申告した場合、所得税と住民税の両方から控除が行われます。所得税分は申告後に還付金として口座へ振り込まれ、住民税分は翌年6月以降の住民税額から差し引かれます。
確定申告は寄附先の自治体数に制限がなく、6か所以上に寄附した場合や、医療費控除・住宅ローン控除など他の控除と合わせて申告したい場合にも対応できます。また、個人事業主やフリーランスの方は原則として確定申告が必要であり、その際にふるさと納税の寄附金控除も一緒に申告することができます。
ワンストップ特例制度では住民税のみから軽減
ワンストップ特例制度は、一定の条件を満たす給与所得者が確定申告なしにふるさと納税の控除を受けられる仕組みです。この制度を利用した場合、所得税からの還付は行われず、本来なら所得税から控除される分も含めて、控除額の全額が翌年の住民税から差し引かれます。
ワンストップ特例制度を利用できる条件は、給与所得者であること(確定申告が不要な方)と、寄附先の自治体が5か所以内であることです。各自治体へ申請書を翌年1月10日必着で提出する必要があります。手続きが簡単な反面、期限や申請書類の不備には十分注意が必要です。
また、ワンストップ特例制度で申請したあとに医療費控除などの理由で確定申告を行った場合、ワンストップ特例の申請は無効となります。この場合は確定申告書にふるさと納税の寄附金控除を追加で申告することが必要です。
所得税・住民税から軽減される金額の上限

ふるさと納税による控除には上限額(控除上限額)が設定されており、その範囲を超えた寄附分については控除が適用されません。上限額は年収や家族構成によって異なるため、事前に確認することが重要です。
年収や家族構成で上限額が決まる
ふるさと納税の控除上限額は、年収(税引き前の額面年収)・家族構成・他の控除の有無などによって異なります。一般的な目安として、年収400万円・独身の場合の上限額はおよそ4万2,000〜4万3,000円、年収600万円・独身の場合はおよそ7万7,000〜7万8,000円程度です。
配偶者控除を受けている場合や、扶養家族がいる場合は課税所得が変わるため、同じ年収でも上限額が下がることがあります。また、住宅ローン控除や医療費控除などの税額控除がある場合は、住民税の特例分の計算に影響を与えることがあるため、詳細シミュレーターで条件を入力して確認することを推奨します。
上限額を調べるシミュレーションの活用
ふるさと納税の各ポータルサイトでは、年収・家族構成を入力するだけで控除上限額の目安を確認できる「かんたんシミュレーター」と、より細かい条件を入力して精度を高められる「詳細シミュレーター」が用意されています。
かんたんシミュレーターは大まかな目安を素早く把握するのに適しており、詳細シミュレーターは住宅ローン控除・医療費控除・社会保険料なども加味した計算が可能です。源泉徴収票を手元に用意したうえで詳細シミュレーターを使うことで、より実態に近い上限額を確認でき、過剰寄附のリスクを防ぐことができます。
上限を超えた場合の自己負担への影響
控除上限額を超えた寄附分は、所得税・住民税のいずれからも控除されず、全額が自己負担となります。たとえば上限額が6万円のところに8万円を寄附した場合、超過した2万円は控除対象にならず、自己負担の2,000円と合わせて2万2,000円が実質的なコストになります。
年収の変動や他の控除との兼ね合いで上限額が変わることもあります。毎年シミュレーションを行い、当年の年収見込みをもとに上限額を確認したうえで寄附額を決めることが、ふるさと納税を正しく活用する基本姿勢です。
特に、産休・育休による収入減少、転職、副業収入の増減などがあった年は、前年と同じ寄附額では超過してしまうリスクがあります。年末に年収が確定したタイミングで再度シミュレーターを確認し、残り枠を調整することが安全な活用法です。
所得税・住民税の軽減を受けるための手続き

ふるさと納税による税の軽減を実際に受けるには、正しい手続きを期限内に行う必要があります。手続きを怠ったり書類に不備があったりすると、せっかく寄附しても控除が適用されません。
寄附時に受け取る寄附金受領証明書の保管
ふるさと納税で寄附を行うと、後日寄附先の自治体から「寄附金受領証明書」が郵送されます。この書類は確定申告で寄附金控除を申請する際に必要となる重要書類です。紛失すると再発行に時間がかかる場合があるため、受け取ったらすぐに内容を確認し、まとめてファイリングしておく習慣をつけましょう。
ワンストップ特例制度を利用する場合でも、書類のトラブルや申請漏れに備えて、寄附金受領証明書は保管しておくことをおすすめします。複数の自治体に寄附した場合は、自治体ごとに届くため、それぞれを漏れなく保管することが大切です。
なお、近年は一部のポータルサイトで電子的な寄附金受領証明書の発行サービスも始まっています。電子データで受け取った場合は、ファイルを適切なフォルダに保存し、e-Taxとの連携機能を活用すると確定申告がさらに便利になります。
確定申告での寄附金控除の申請方法
確定申告でふるさと納税の控除を受けるには、申告書の「寄附金控除」欄に寄附金額を記載し、寄附金受領証明書を添付(または内容を入力)します。e-Taxを利用する場合は、受領証明書の内容をオンラインで入力することで申告が完結します。
申告の期限は原則として寄附した翌年の3月15日です。この期限を過ぎると控除が受けられなくなる場合があります。医療費控除など他の控除と合わせて申告することもできるため、複数の控除がある方はまとめて手続きを行うと効率的です。
確定申告書の第一表「所得から差し引かれる金額」の欄に寄附金控除額が記載されます。申告書の控えを保管しておくことで、後から控除内容を確認したり、誤りがあった際に修正申告の根拠資料として使用したりすることができます。
ワンストップ特例申請書の提出手順
ワンストップ特例制度を利用する場合、寄附のたびに寄附先の自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出します。申請書には氏名・住所・マイナンバーなどを記入し、本人確認書類のコピーを添付して郵送します。
提出期限は寄附した翌年の1月10日必着です。期限を過ぎた場合や、引っ越しなどで申請後に住所が変わった場合は、確定申告での対応が必要になります。各自治体ごとに申請書を提出する必要があるため、寄附ごとにすぐ手続きを進めることが確実です。
住所が変わった場合は「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を変更前の住所を管轄する自治体に提出する必要があります。引っ越し後に気づいた場合でも期限内に対応できる場合があるため、変更が生じた際は早めに各自治体へ連絡を入れましょう。
ふるさと納税で軽減された税金を確認する方法

ふるさと納税による控除は、申告しただけでは完了しません。実際に所得税の還付と住民税の減額が正しく行われているかを、書類で確認することが重要です。
所得税の還付額は確定申告書の控えで確認
確定申告を行った場合、提出した申告書の控えで所得税の還付予定額を確認できます。第一表の「還付される税金」欄に金額が記載されており、申告から1〜2か月後に指定口座へ振り込まれます。振り込みが完了すると「国税還付金振込通知書」が郵送されます。
通知書と申告書の控えを照合し、想定通りの還付額が振り込まれているかを確認しましょう。e-Taxを利用している場合は、マイナポータルや国税庁の確定申告コーナーから申告内容と還付状況をオンラインで確認することもできます。
住民税の控除額は住民税決定通知書で確認
住民税の控除が正しく反映されているかは、毎年5〜6月頃に勤務先を通じて配布される「住民税決定通知書」で確認します。通知書の「税額控除額」欄または「寄附金税額控除」欄に、ふるさと納税による控除額が記載されています。
ワンストップ特例制度を利用した場合、控除額の全額がこの欄に表示されます。確定申告を行った場合は、所得税還付分と合算することで控除の全体像が確認できます。記載金額が「寄附金額−2,000円」と一致しているかを照合してください。
住民税決定通知書の「摘要」欄に「寄附金税額控除適用」などの記載がある場合もあります。記載の様式は自治体によって若干異なりますが、いずれも寄附金税額控除の欄を確認することで控除が正しく反映されているかを判断できます。
税金が軽減されていない場合の対処
住民税決定通知書に控除の記載がない場合や、想定より控除額が少ない場合は、ワンストップ特例申請書の提出漏れ・書類不備・控除上限額の超過などが原因として考えられます。まず申請書類の提出状況を確認し、問題があれば居住市区町村の税務担当窓口に問い合わせましょう。
申請漏れがあった場合、所得税については申告期限から5年以内であれば「更正の請求」を行うことが可能です。住民税についても未申告分を追加申告できる場合があります。「もう遅い」と諦めず、早めに窓口へ相談することが大切です。
また、企業が企業版ふるさと納税を活用する際にも、控除の確認や手続きのサポートが重要です。寄附先の自治体とのマッチングから申告書類の準備まで一括して支援する専門プラットフォームを活用することで、法人税の控除を漏れなく受けることができます。
まとめ
ふるさと納税で控除される税金は所得税と住民税の2種類で、寄附金額から2,000円を差し引いた金額が対象となります。確定申告では両方から控除され、ワンストップ特例制度では全額が住民税から差し引かれます。
控除上限額の範囲内で寄附を行い、手続きを期限内に完了させることが、ふるさと納税の効果を最大限に受け取るための基本です。住民税決定通知書や確定申告書の控えで、毎年しっかり確認しましょう。