サービスが気になる方は 資料ダウンロードする 寄附額の目安を知りたい方は 寄附額をシミュレーション

役員報酬の決め方は?給与との違いや最適金額の考え方を紹介

役員報酬は法人の経費として損金算入できますが、金額の決め方・変更のタイミング・届出の有無を誤ると税務上の損金算入が認められなくなります。また社会保険料や将来の年金にも直接影響するため、設立時から慎重に設計することが必要です。

この記事では、役員報酬の基礎から損金算入の3種類・決定ルール・税負担シミュレーション・適正額の目安まで、経営者が知るべき情報を正確に解説します。

企業版ふるさと納税をご検討の方

株式会社ホープ(東証グロース・福証 Q-Board上場)
のグループ会社
として、
累計寄附成立件数 5,200件超の実績をもとに、
企業の目的に合わせた
最適な寄附スキームをご提案します。

資料カセット
自社に必要なことがすぐわかる
無料で資料をダウンロード

最短1分でシミュレーションしたい方は、
「寄附額シミュレーター」もご検討ください。

目次

役員報酬の決め方を理解するための基礎知識

役員報酬の決め方を正しく理解するには、まず「役員報酬とは何か」「従業員給与とどう違うか」「誤った設定が招くリスクは何か」という3点の基礎を押さえる必要があります。

役員報酬とは何か・支給対象となる役員の範囲

役員報酬とは、法人の役員が法人から受け取る報酬のことです。法人税法上の「役員」とは、取締役・会計参与・監査役・執行役・理事・監事・清算人を指します(法人税法第2条第15号)。

また「みなし役員」にも注意が必要です。同族会社において、法人の経営に従事している使用人のうち一定の株主等(株式保有割合5%超など)はみなし役員として役員報酬の規制を受けます。家族を社員として雇用している場合でも、株式保有状況によっては役員報酬のルールが適用されます。

役員報酬と従業員給与の大きな違いの一つが「勤務実態の有無にかかわらず定額を支払う」という性格です。従業員は勤怠に応じた給与を受け取りますが、役員はその月に売上がゼロでも、定めた役員報酬を支払い続ける必要があります。この点を踏まえて、無理のない報酬額を設定することが経営安定の観点からも重要です。

従業員の給与と異なる変更のルールと損金算入の条件

従業員への給与は雇用契約の変更により比較的自由に見直せますが、役員報酬は法人税法の規制を受けます。原則として事業年度開始から3か月以内に定め、その後は同額を毎月支給し続けなければ損金算入が認められません。

損金算入が認められる役員報酬は「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」の3種類に限定されています(法人税法第34条)。これらの要件を満たさない支払いは、たとえ実際に支給しても法人の費用(損金)として認められず、課税所得の計算に含まれません。

役員報酬が適切な金額でないと生じる税務リスク

役員報酬の設定ミスは大きく2つのリスクにつながります。一つ目は「損金不算入」リスクです。定期同額給与の要件を満たさない変更を行った場合、変更後の金額(または増額分)が損金に算入されず法人税が増えます。

二つ目は「不相当に高額」と判断されるリスクです。役員の職務内容・会社の業績・同業他社の水準から見て著しく高額な役員報酬は、相当と認められる部分を超えた額が損金不算入となります。法人税調査では役員報酬は重点チェック項目の一つです。

損金算入できる役員報酬の3種類

法人税法上、損金算入が認められる役員報酬には3つの類型があります。それぞれの要件を正確に理解して、自社に合った支給方法を選択することが重要です。

なお、役員報酬は法人の経費(損金)として計上できますが、「役員報酬を増やせばそのまま節税になる」という単純な話ではありません。役員報酬を受け取った個人には所得税・住民税・社会保険料がかかるため、法人側での税軽減と個人側での税増加を合わせたトータルの税負担で判断することが正しいアプローチです。

毎月同額を支払う定期同額給与

定期同額給与とは、1か月以下の一定期間ごとに同額を支払う給与です(法人税法第34条第1項第1号)。「毎月25万円を支給する」など、支給額が毎月一定であることが要件で、最も一般的な役員報酬の形態です。

事業年度中に金額を変更すると、変更前後の差額(増額部分)が損金不算入となります。変更が認められるのは原則として期首から3か月以内の1回のみです。ただし、業績の著しい悪化など合理的な理由があれば期中変更も認められる「臨時改定事由」という例外があります。

時期と金額を事前に届け出る事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、いつ・いくら支払うかを事前に税務署に届け出たうえで、届出通りに支給する給与です(法人税法第34条第1項第2号)。役員への賞与(ボーナス)を損金算入する際に主に使われます。

届出期限は「株主総会等の決議日から1か月以内」または「事業年度開始から4か月以内」のいずれか早い日です。届け出た金額と実際の支給額が1円でも異なると、その賞与全額が損金不算入となる点に注意が必要です。届出通りに支給できない可能性がある場合は慎重に金額を設定してください。

事前確定届出給与は役員への「決算賞与」として活用されることも多いです。たとえば業績が好調だった場合に、3月決算前に株主総会を開き500万円の役員賞与を届出し、事業年度中の決算月に支給する形です。ただし支給日と支給額が届出と完全に一致していることが絶対条件であり、手続きの正確性が求められます。

同族会社以外が対象となる業績連動給与

業績連動給与とは、法人の利益・株価などの指標に連動して算定される報酬です(法人税法第34条第1項第3号)。同族会社(株主の大半が特定の親族で占められる会社)以外の法人のみに適用が認められます。

算定根拠となる指標は有価証券報告書等で開示された客観的なものである必要があり、報酬委員会等の適切な機関が決定する手続きも求められます。中小企業のほとんどは同族会社に該当するため、実務上は定期同額給与か事前確定届出給与の2択になるケースが大半です。

役員報酬の決定・変更時に守るべき5つのルール

役員報酬の設定・変更には税務上の厳格なルールがあります。以下の5つを守ることで、損金算入の要件を満たし、税務リスクを防ぐことができます。

会社設立後3か月以内に報酬額を決定する

新設法人の場合、事業年度開始の日(設立日)から3か月以内に役員報酬を決定することで、その事業年度全体の役員報酬が損金算入の対象となります。この期限を超えると、超過後に決定した役員報酬は当期分の損金算入が認められなくなる可能性があります。

原則として毎月同額(定期同額)で支給する

毎月の支給額は一定にすることが原則です。月によって支給額が変動すると「定期同額給与」の要件を満たさなくなり、損金不算入とみなされるリスクがあります。支給日は毎月同じ日(例:25日)に設定し、支給額も同額を維持してください。

変更できるのは期首から3か月以内の一度のみ

既存の事業年度における役員報酬の変更は、事業年度開始から3か月以内に1回だけ認められます。3か月を過ぎてから変更した場合は、変更前後の差額部分が損金不算入となります。次の事業年度まで同額を維持する計画のもとで報酬額を設定することが重要です。

役員に賞与を支給する際は事前に税務署へ届け出る

役員への賞与は原則として損金不算入ですが、「事前確定届出給与」として所定の書類を事前に税務署へ提出すれば損金算入できます。株主総会等の決議後1か月以内または事業年度開始から4か月以内(どちらか早い方)が届出期限です。届出後の金額変更は認められません。

株式会社は株主総会で決議を行い議事録を残す

株式会社では役員報酬の総額または個別の金額を株主総会で決議し、議事録を作成・保管する義務があります(会社法第361条)。「株主総会で決議した」という記録が法的・税務的な証拠になります。合同会社では社員間の合意(定款または社員総会)が必要です。議事録は税務調査で提示を求められることがあるため、適切に管理してください。

一人会社(代表一人の株式会社)であっても、株主総会の開催と議事録の作成を省略することはできません。たとえ一人株主・一人取締役であっても、毎期の決算後に株主総会を開催し、役員報酬の総額上限を定めた議事録を作成・保管することが会社法上の義務です。

役員報酬の最適な金額を決めるポイントとシミュレーション

役員報酬の「最適な金額」は、法人税と個人の所得税・住民税の合計が最小になる水準を目指して設定します。事業年度開始前の予測利益に基づいて試算することが重要です。

法人の損益を事前に予測して設定する

役員報酬は事業年度開始から3か月以内に確定する必要があります。そのため、当期の売上・経費の見込みを算出し、役員報酬支払後の法人利益が適切な水準になるよう逆算して設定します。

法人の課税所得が800万円以下であれば法人税率は15%(中小企業)、超過分は23.2%です。役員報酬を増やせば法人の課税所得が下がりますが、個人の所得税・住民税は増えます。この「法人税の減少額」と「個人税の増加額」のバランスを試算することが最適化の核心です。

試算の手順は①法人の当期見込み利益(役員報酬支払前)を算出→②複数の役員報酬額を仮定→③各ケースの法人税と個人税・社会保険料の合計を比較→④最も合計税負担が低い報酬額を採用、という流れです。表計算ソフトや税理士のシミュレーションツールを活用すると効率的です。

法人税と個人の所得税・住民税のバランスを試算する

一般に、個人の所得税率が法人税率を超え始める水準(所得税23%課税の段階:課税所得約330〜695万円)が、役員報酬の上限を検討する目安の一つです。法人に利益を残して次年度に繰り越すか、当期に役員報酬として受け取るかは税率の比較で判断します。

また、社会保険料は役員報酬に連動して増加します。標準報酬月額の等級によって決まる社会保険料(健康保険・厚生年金の合計で労使折半約28%)は税負担と同様に考慮が必要です。所得税・住民税・社会保険料の合計で試算することが正確なシミュレーションの前提です。

関連ページ:経営者必見!法人税の節税対策一覧【15選】

役員報酬300万円・500万円・800万円の税負担シミュレーション

法人利益(役員報酬支払前)1,000万円を前提に、役員報酬別の概算税負担を比較します(法人税実効税率約33%、社会保険料考慮なし、基礎控除48万円適用)。

役員報酬300万円のケースでは、法人課税所得700万円に対し法人税等約231万円、個人課税所得約154万円に対し所得税・住民税合計約23万円、合計税負担は約254万円。

役員報酬500万円では法人税等約165万円・個人税約46万円で合計約211万円。

役員報酬800万円では法人税等約66万円・個人税約113万円で合計約179万円となる傾向があります(いずれも概算。社会保険料は別途加算が必要)。

関連ページ:経営者のふるさと納税術!個人と法人の賢い使い分け方とは?

初年度の売上が見えない時期に役員報酬をどう設定するか

設立初年度は売上の見通しが不確かな場合が多く、役員報酬を高く設定して法人の資金繰りが悪化するリスクがあります。初年度は低め(月10〜20万円程度)に設定して法人に資金を残し、2年目以降に実績をもとに適正額に引き上げるアプローチが合理的です。

ゼロ円に設定することも選択肢の一つですが、社会保険の加入維持など他の要因も考慮する必要があります。初年度の役員報酬設定は税理士とともに複数のシナリオを試算したうえで決定することをおすすめします。

役員報酬の金額が社会保険料に与える影響

役員報酬の金額は社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の負担額に直接影響します。節税の観点だけでなく、将来の年金受給額との兼ね合いも踏まえた設計が必要です。

役員報酬の額で決まる標準報酬月額の仕組み

社会保険料は役員報酬の月額をもとに「標準報酬月額」の等級が決まり、その等級に応じた保険料率を掛けて算出されます。健康保険は上限139万円(最高等級)、厚生年金は月額65万円(標準報酬月額の上限)に設定されています。

標準報酬月額は毎年4〜6月の実際の報酬をもとに見直される「定時決定」と、役員報酬変更時の「随時改定」があります。4〜6月に報酬が高くなると1年間の社会保険料が高くなるため、報酬変更のタイミングにも注意が必要です。

社会保険料の会社負担分も含めたトータルコストの考え方

社会保険料は本人(役員個人)と法人が折半で負担します。2024年度の保険料率は健康保険(協会けんぽ・東京都)が約10%・厚生年金が18.3%で合計約28%(労使各約14%)です。月額役員報酬が40万円の場合、年間の社会保険料は本人・法人合計で約136万円となります。

「役員報酬を下げれば社会保険料も下がる」という発想は、法人のコスト削減に有効ですが、本人の保障内容も下がることを理解したうえで判断してください。

特に、マイクロ法人を設立して個人事業との二刀流を行う場合は、役員報酬を低く設定して社会保険料を抑えるという戦略が取られることがあります。社会保険料の削減効果と将来の年金額への影響をトータルで試算してから判断することが重要です。

役員報酬を低く設定した場合の将来の年金への影響

厚生年金の受給額は、現役時代の標準報酬月額と加入期間で決まります。役員報酬を低く設定すると社会保険料は減りますが、将来の厚生年金受給額も低くなります。

節税のために役員報酬を極端に低く設定すると、老後の年金収入が少なくなります。現在の税負担の軽減額と将来の年金減少額を比較し、中長期的な視点でバランスを取ることが重要です。小規模企業共済(掛金全額が所得控除)などを併用することも検討に値します。

役員報酬の相場と適正額の目安

役員報酬の金額は自由に設定できますが、法人の規模・業種・業績から見て著しく高額な場合は税務上の問題が生じます。相場と適正額の概念を把握しておきましょう。

資本金規模別の平均役員報酬額

国税庁の統計等によれば、中小企業の役員報酬の中央値は年間300〜600万円程度です。資本金1,000万円以下の小規模法人では年間200〜500万円、資本金1,000万〜5,000万円程度の法人では年間400〜800万円程度が一般的な目安です。ただしこれはあくまで平均的な水準であり、業種・地域・業績によって大きく異なります。

なお、役員報酬は設立直後から適正に設定しておかないと、後から遡って変更することができません。設立初年度の役員報酬を低く設定した場合でも、翌事業年度から実態に見合った適正額に設定し直すことは可能です。長期的な視点で段階的に報酬水準を引き上げることも選択肢の一つです。

業種によって異なる相場の確認方法

適正な役員報酬の水準を確認するには、同業他社の役員報酬データを参考にします。中小企業庁が公表する「中小企業実態基本調査」や日本政策金融公庫の調査データ、業界団体の調査報告書などを活用できます。税理士に同業他社の相場を確認することも有効です。

不相当に高額とみなされると損金算入が認められない

法人税法施行令第70条は「不相当に高額」な役員報酬の損金不算入を定めています。判断は「実質基準(職務内容・収益状況・他社比較)」と「形式基準(定款・株主総会で定めた限度額の範囲内か)」の両面から行われます。過大報酬と認定された超過部分は損金不算入となり追加の税負担が生じます。

関連ページ:企業版ふるさと納税とは?メリット・デメリットを解説!

役員報酬を決める際に注意すべきポイント

役員報酬の設計では、親族役員の扱い・例外的な変更が認められるケース・法改正の影響という3点を特に意識しておくことが必要です。

親族役員への報酬は勤務実態を明確にしておく

配偶者・子など親族が取締役に就任して役員報酬を受け取る場合、実際の業務への従事実態がないと「不相当に高額」または「勤務実態がない」として損金算入を否認されるリスクがあります。業務分担の記録・勤怠管理・会議への参加記録など、勤務実態を証明できる書類を整備しておくことが必要です。

3か月を超えた後に変更が認められる例外的なケース

原則として期首3か月以降の変更は損金不算入ですが、「臨時改定事由」に該当する場合は期中変更が認められます。臨時改定事由とは、経営状況の著しい悪化・役員の職責変更(昇進・降格)などです。ただし「業績が少し悪化した」程度では認められないため、該当性の判断は税理士に確認することをおすすめします。

臨時改定事由がある場合でも、変更後は再び毎月同額の支給を継続することが求められます。変更の事実とその理由を議事録や社内文書に記録しておくことで、後日税務調査が入った際の説明資料として活用できます。

2019年の会社法改正が役員報酬に与えた影響

2019年(令和元年)の改正会社法では、上場会社において取締役の個人別の報酬等の内容に係る方針を取締役会で決定することが義務化されました。また、有価証券報告書での個人別報酬開示が強化されています。中小企業への直接の義務はありませんが、コーポレートガバナンスの観点から報酬決定プロセスの透明化・文書化を意識しておくことが望まれます。

まとめ

役員報酬は法人の重要な経費であると同時に、税務上の厳格なルールが適用されます。損金算入が認められるのは定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与の3種類で、設定・変更には期限と手続きの遵守が不可欠です。

最適な金額は法人税・所得税・住民税・社会保険料の合計が最小になる水準で設定します。初年度は低めに設定して様子を見るアプローチも有効です。設立時・事業年度開始前に必ず税理士とシミュレーションを行ってください。

企業版ふるさと納税をご検討の方

株式会社ホープ(東証グロース・福証 Q-Board上場)
のグループ会社
として、
累計寄附成立件数 5,200件超の実績をもとに、
企業の目的に合わせた
最適な寄附スキームをご提案します。

資料カセット
自社に必要なことがすぐわかる
無料で資料をダウンロード

最短1分でシミュレーションしたい方は、
「寄附額シミュレーター」もご検討ください。