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企業版ふるさと納税

企業版ふるさと納税は災害支援にも使える?制度の仕組みと活用のポイントを解説

「地震や大雨などの自然災害が発生した際、企業として被災地の復旧・復興を支援したいが、義援金以外にどのような手段があるのか分からない」という担当者の方も多いのではないでしょうか。実は企業版ふるさと納税は、最大約9割の税負担軽減で企業の負担を抑えつつ、災害からの復旧・復興支援にも活用できる制度です。

本記事では、災害時における企業版ふるさと納税の仕組みや活用のポイント、実際の受付事例、検討時の注意点までを詳しく解説します。

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企業版ふるさと納税は災害からの復旧・復興にも活用できる

企業版ふるさと納税は、平時は地方創生に資する事業を対象としていますが、大規模な災害が発生した際には、通常とは異なる特例的な運用が行われます。まずは制度の基本と、災害時における取り扱いを整理しながら確認していきましょう。

制度の基本と災害時の特例的な取り扱い

企業版ふるさと納税は、地方公共団体が策定する「地域再生計画」に基づく事業に対して企業が寄附を行うことで、寄附額の一部について法人関係税の税額控除等を受けられる制度です。

内閣府地方創生推進事務局が所管しており、通常は地域再生計画の認定申請期間が年に数回、あらかじめ定められたスケジュールで設けられています。

関連ページ:企業版ふるさと納税の仕組みとは?利用がおすすめの企業の特徴を解説!

一方、気象庁から特別警報が発令された場合や、震度6弱以上の地震が発生した場合など、大規模な災害で被災した地方公共団体が策定する地域再生計画については、通常の認定申請期間にかかわらず、個別に相談・申請を受け付け、認定を行う特例的な取り扱いが定められています。

これは、被災地の復旧・復興は時間との勝負であり、通常のスケジュールに合わせて計画を策定していては、必要な財源の確保が遅れてしまうためです。この特例により、被災自治体は災害発生後、比較的早い段階から企業版ふるさと納税を財源のひとつとして活用できる仕組みになっています。

企業側にとっても、こうした特例の存在を知っておくことで、災害発生後に自治体からの受け入れ表明が出るタイミングを見越して、社内で寄附の検討を進めやすくなります。

通常の認定申請期間によらず随時相談できる仕組み

通常の企業版ふるさと納税では、地方公共団体があらかじめ定められた認定申請期間内に地域再生計画を内閣府へ提出し、認定を受けたうえで寄附の受付を開始する必要があります。そのため、計画づくりから認定まで一定の期間を要するのが一般的で、被災直後の緊急対応にはそぐわない面があります。

これに対し、災害からの復旧・復興を目的とする地域再生計画については、災害発生日から当面の間、通常の申請期間によらず随時相談・申請ができる仕組みが用意されています。

内閣府には地域再生計画の担当部局と企業版ふるさと納税の担当部局があり、被災自治体はこれらの窓口に個別に相談しながら計画を作成し、早期の認定を目指すことができます。

企業としても、災害発生後まもない時期から自治体の受付情報を確認できる可能性があり、支援したいと考えた時に情報が見つからず動けない、という事態を避けやすくなります。

すでに認定を受けている地域再生計画の中に、災害復旧・復興に該当する、または近い事業が含まれている場合、新たに計画を申請することなく、その計画に基づいて寄附を募れるケースもあります。対応は自治体の計画内容や判断によって異なるため、まずは自治体の担当窓口に確認することが大切です。 

「発災直後の支援」と「復旧・復興支援」の違い

災害支援と一口に言っても、発災直後に必要とされる支援と、その後の復旧・復興フェーズで必要とされる支援は性質が異なります。企業版ふるさと納税が担う役割を理解するために、フェーズごとの違いを整理しておきましょう。

人命救助・物資供給が優先される発災直後

災害が発生した直後の「救助・救援フェーズ」では、人命救助、避難支援、医療、物資供給といった、一刻を争う対応が最優先されます。この段階での支援の中心となるのは、消防・自衛隊・警察といった専門機関による救助活動や、日本赤十字社等を通じた義援金、緊急物資支援などです。

企業版ふるさと納税は、地方公共団体が地域再生計画を策定し、内閣府の認定を受けたうえで寄附を受け付ける制度であるため、発災直後の混乱した状況で即座に活用することは難しい場合があります。

そのため、「今すぐ何か支援したい」と考えた場合は、発災直後の時点では義援金や物資支援を検討し、企業版ふるさと納税は次の段階の支援の選択肢として位置づける企業もいます。

生活・行政機能の回復を目指す復旧フェーズ

発災直後の緊急対応が一段落すると、生活基盤や行政機能を元の状態に近づけていく「復旧フェーズ」に移行します。道路や公共施設等の復旧、被災した生活環境の再建、地域の事業者の事業再開支援などが、このフェーズの主な取り組みです。

このフェーズは、被災自治体が地域再生計画を策定し、企業からの寄附を財源として具体的な事業を実施していく段階と重なります。前述の特例的な取り扱いにより、災害発生後の随時申請が可能になっているため、企業版ふるさと納税は復旧フェーズの財源確保において重要な役割を果たすことができます。

自治体によっては、この時期に合わせて企業版ふるさと納税の受付ページを開設し、企業に向けて支援を呼びかけるケースも見られます。企業にとっても、道路が復旧した、事業者が営業を再開したといった形で支援の効果が見えやすく、寄附の成果を実感しやすい段階といえるでしょう。

復旧フェーズにおける取り組みは、被災した住民の生活に直結するため、企業としても支援の意義を社内で説明しやすいというメリットもあります。

産業再生・防災強化に取り組む復興フェーズ

生活・行政機能の回復が進んだ先には、地域の将来に向けた再構築を目指す「復興フェーズ」があります。産業の再生、防災体制の強化、まちづくり、地域コミュニティの再生など、中長期的な視点での取り組みが中心となります。

企業版ふるさと納税は、こうした復興フェーズの事業にも継続的に活用できる制度です。単発の寄附だけでなく、複数年にわたって同じ自治体を支援することで、企業と地域のつながりを長期的に築きながら、次の災害に備えた防災力の高いまちづくりにも貢献することができます。

また、復興フェーズの取り組みは、防災教育や産業振興など、企業がもともと関心を持っていた平時の地方創生の分野と重なる場合も多く、災害後も継続的に地域と関わり続けるきっかけとして活用しやすい点も特徴です。

災害支援に企業版ふるさと納税を活用するメリットと流れ

災害支援に企業版ふるさと納税を活用することは、企業・自治体の双方にメリットがあります。ここでは、それぞれの立場から見た利点と、寄附実行までの基本的な流れを解説します。

企業側のメリット(CSR・ESG方針との合致、税負担の軽減)

企業にとって、災害支援に企業版ふるさと納税を活用する最大のメリットのひとつは、寄附金額の損金算入と法人関係税からの税額控除を組み合わせることで、最大約9割の税負担軽減(損金算入と税額控除の合計効果)を受けられる点です。

実質的な企業の負担を抑えながら、被災地の復旧・復興を継続的に支援できるため、限られた予算の中でも取り組みやすい社会貢献策といえます。

また、災害支援への貢献は、企業のCSR(社会的責任)やESG方針とも合致しやすいテーマです。被災自治体を明確に指定して寄附できるため、支援の意図や成果を社内外にわかりやすく発信でき、企業としての社会的な姿勢を示す機会にもなります。

近年は、統合報告書やサステナビリティレポートの中で、災害支援を含む地域貢献の取り組みを開示する企業も増えており、企業版ふるさと納税はそうした情報開示の材料としても活用しやすい制度です。

取引先や従業員に対しても、寄附先の自治体や事業内容を具体的に示せるため、社会貢献活動への理解や納得感を得やすいという声も聞かれます。

関連ページ:企業版ふるさと納税とは?メリット・デメリットを解説!

自治体側のメリット(国の補助と並行した財源確保)

自治体側から見ると、企業版ふるさと納税は、国の補助金や交付金とは別枠で復旧・復興の財源を確保できる手段となります。前述のとおり、対象となるのは国庫補助の対象外事業に限られるため、国の支援だけでは手が届きにくい事業についても、企業からの寄附によって財源を補うことができます。

また、災害時には通常の認定申請期間にかかわらず随時相談・申請できる特例が設けられているため、被災自治体は災害発生後の早い段階から企業版ふるさと納税による財源確保に着手できます。

特に、住民税や固定資産税等の税収が被災により一時的に減少する可能性がある中で、企業からの寄附は自治体にとって心理的な支えにもなり、復旧・復興に向けた姿勢を庁内外に示すきっかけにもなります。

国の補助制度と企業版ふるさと納税を並行して活用することで、復旧・復興事業をより機動的かつ多面的に進めやすくなる点も、自治体側の大きなメリットといえます。

自治体のニーズ整理から寄附実行・事業報告までの基本的な流れ

災害支援に企業版ふるさと納税を活用する基本的な流れは、まず被災自治体が復旧・復興のための地域再生計画を策定し、対象事業や必要な財源規模を整理するところから始まります。企業は、自治体が公表する情報や寄附の呼びかけをもとに、支援したい事業やその使途をあらかじめ確認しておきます。

その後、企業は寄附申出書等の書類を提出し、寄附を実行します。寄附は現金によるものが基本ですが、簡易トイレなどの物品による物納という選択肢も用意されており、自社が保有する資産を寄附することで、資金だけでなく物品の面から被災地を支援することも可能です。

なお、寄附の実行にあたっては、企業版ふるさと納税の仲介を専門に行うポータルサイトを経由して、自治体とのやり取りを進めることもできます。寄附実行後、自治体側は計画に基づいて事業を実施し、企業に対して事業の実施状況について報告を行うところまでが一連の流れとなります。

企業としては、寄附後も自治体からの報告を通じて、寄附がどのように活用されたかを確認できる点も、この制度の特徴のひとつです。

関連ページ:企業版ふるさと納税で物納はできる?活用するメリットや事例を紹介

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実際に活用されている災害支援の例

ここでは、実際に企業版ふるさと納税による災害支援の受付を行っている自治体の事例として、熊本県と千葉県内の自治体の公式ページで確認できた内容を紹介します。あわせて、掲載内容から見えてくる自治体ごとの違いも整理します。

令和8年熊本地震における熊本県の受付事例

2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震では、宇城市と氷川町で最大震度7を観測し、最大約1万人の避難者が出るなど、熊本県内に甚大な被害が生じました。

熊本県の公式ページでは、令和8年熊本地震により県内で甚大な被害が発生したことを受け、企業版ふるさと納税による災害復旧・復興支援の寄附を受け付けていることが案内されています。

企業として災害復興支援を目的とした寄附を行いたい場合は、寄附申出書の使途欄に「地震、大雨災害からの復旧・復興事業」と記載するよう案内されている点が特徴です。

一方、県内の自治体(例えば八代市など)では、オンライン申請フォームでの24時間受付、申出書の郵送・メールでの提出、複数の仲介ポータルサイトの利用など、複数の方法で寄附を受け付けている例が確認できています。

企業が支援を検討する際は、熊本県の公式ページに加えて、支援したい市町村の公式ページも合わせて確認すると、より詳細な受付状況を把握しやすくなります。

令和8年8月千葉豪雨における千葉県内自治体の受付事例

令和8年8月13日からの記録的な大雨により、千葉市をはじめ県内の多くの市町村が災害対策本部を設置する事態となりました。 

千葉市の公式ページでは、「令和8年8月千葉豪雨に伴う災害支援寄附金」の案内の中で、企業版ふるさと納税については別に設けられた特設ページを確認するよう案内されています。

特設ページでは、令和8年8月千葉豪雨の復旧・復興事業のための企業版ふるさと納税の受付が行われており、寄附は「地方創生に資する復旧・復興事業や、今後の防災対策の財源として」活用されると説明されています。

寄附の申込みは、用意された申込書を提出する方法が案内されており、「本制度に基づく寄附は、国の運用方針に基づき原則現金でのご寄附をお願いしております」と明記されている点が特徴です。

。千葉県内では千葉市以外の自治体も被災しているため、支援を検討する企業は、千葉市に限らず県内の各自治体の公式ページも確認しておくとよいでしょう。

自治体ごとに受付方法・使途が異なる点

以上の2つの事例からも分かるように、企業版ふるさと納税による災害支援は、自治体によって受付方法や使途の説明の仕方が異なります。熊本県では申出書の使途欄への記載、

千葉市では専用の特設ページを通じた申込書提出が案内されており、原則現金での寄附です。受付開始日や対象事業の詳細な一覧が公式ページ上で必ずしも明示されているとは限りません。

企業が実際に災害支援を検討する際は、こうした違いを踏まえ、対象自治体の公式ページで受付方法・対象事業・寄附方法をそのつど必ず確認し、自治体ごとの案内に沿って手続きを進めることが重要です。

自治体の公式ページを一つずつ確認する方法もありますが、被災した自治体が複数にわたる場合は手間がかかります。ジチタイリンクのような仲介事業者のポータルサイトなら、複数の自治体の受付状況や対象事業をまとめて確認できるため、支援先の比較や検討をスムーズに進められます。 

ジチタイリンクではこれまでに災害支援として累計約2億3,000万円の寄附を企業から自治体に繋いでいます。総合窓口としてご相談の対応や自治体との調整などのサポートをするため、手続きの負担を抑えて、初めて企業版ふるさと納税を活用する企業でも支援に取り組めます。

企業が災害支援の企業版ふるさと納税を検討する際の注意点

企業版ふるさと納税を災害支援に活用する際には、平時の活用場面とは異なる注意点もあります。制度を正しく理解しないまま進めてしまうと、思わぬ誤解を招くこともあるため、検討にあたって押さえておきたいポイントを整理します。

発災直後の義援金とは性質が異なる

災害支援における企業の寄附としては、義援金も広く知られています。義援金は、被災者への直接的な生活支援等を目的として、日本赤十字社や自治体の窓口等を通じて寄せられるもので、発災直後から幅広く募られる点が特徴です。

一方、企業版ふるさと納税は、被災自治体が策定する地域再生計画に基づき、インフラの復旧や産業再生といった自治体の事業に対して寄附を行う制度です。

前述のとおり認定手続きを経る必要があるため、発災直後に義援金のように即座に活用できるものではなく、どちらかといえば復旧・復興フェーズ以降の中期的な支援に適した制度です。

義援金と企業版ふるさと納税は、支援の目的や対象、活用できる時期がそれぞれ異なるため、両者の性質を区別したうえで検討することが大切です。

どちらか一方だけを選ぶ必要はなく、発災直後は義援金、復旧・復興フェーズでは企業版ふるさと納税、というように、時期に応じて両者を組み合わせて活用する企業も見られます。

経済的利益の供与は禁止されている

企業版ふるさと納税を検討する際に必ず理解しておきたいのが、寄附を行うことの代償として企業が経済的な利益を受けることは法律上禁止されているという点です。地方創生に関する法律に基づき、返礼品の提供など、寄附に対する対価性のある利益供与は認められていません。

これは、企業版ふるさと納税が個人向けのふるさと納税とは異なり、あくまで地域への貢献そのものを目的とした制度であることを示しています。災害支援を目的とする場合であっても、この原則に変わりはありません。

企業として寄附を検討する際は、見返りを前提とせず、復旧・復興への貢献そのものを目的とした寄附である点を社内でも共有したうえで、意思決定を進める必要があります。担当者だけでなく、経営層や広報部門など関係者の間でもこの原則を共有しておくと、社内説明の際に誤解を招きにくくなります。

平時からの備えが災害時の迅速な支援につながる

災害はいつ、どの地域で発生するか予測できません。企業版ふるさと納税による災害支援を迅速かつ的確に行うためには、発災後の対応だけでなく、平時からの備えが重要な意味を持ちます。

平時からの備えに物納を活用

企業版ふるさと納税による支援で、防災や災害備蓄品の分野で活用できるのが、物品で寄附する「物納」です。

企業版ふるさと納税では、現金だけではなく物品(現物)による寄附も可能です。たとえば、企業が簡易トイレ、ポータブル電源、避難所用ベッドなどを自治体の防災備蓄として寄附した事例があります。 自社が製造・取り扱う防災用品を活用して、避難所や備蓄倉庫の充実に貢献でき、災害が起きた際の自治体の初動対応にもつながります。

一方で、物納には確認しておきたい点があります。すべての自治体で物納が可能なわけではなく、受け入れを表明している自治体に限られます。また、税額控除の基となる寄附額を算出するために、物品の客観的な価値(時価)を算定する手間もかかります。寄附の対価として経済的な利益を受けられない原則は、物納でも変わりません。

関連ページ:企業版ふるさと納税で物納はできる?活用するメリットや事例を紹介

専門プラットフォームを利用した手続き効率化

企業版ふるさと納税は、自治体ごとに書式や手続きが異なる場合があり、初めて活用する企業や、複数の自治体への寄附を検討する企業にとっては、情報収集や書類準備に一定の手間がかかります。災害支援のように迅速な対応が求められる場面では、この手間が支援のスピードを左右することもあります。

こうした負担を軽減する方法として、企業版ふるさと納税の専門プラットフォームの活用が挙げられます。専門プラットフォームでは、手続きのサポートから寄附先のマッチングまで一括して対応してもらえるため、担当者の工数削減と手続きミスの防止につながります。

初めて企業版ふるさと納税を活用する企業や、災害支援を検討する経理・総務担当者の負担軽減を図りたい企業にとって、特に効果的な選択肢といえるでしょう。平時からこうした窓口を把握しておくことが、災害時の迅速な支援にもつながります。

まとめ

企業版ふるさと納税は、平時の地方創生支援だけでなく、災害からの復旧・復興支援にも活用できる制度です。通常とは異なる特例的な申請の仕組みや、対象事業の条件、義援金との違いを正しく理解した上で活用することが求められます。

また、災害が起きてからの寄附に限らず、平時から防災に向けた寄附を行うことも可能です。防災に関する事業への寄附に加え、簡易トイレなどの防災用品を物品で寄附する物納も選択肢となり、自治体の備えの強化につながります。 

制度の詳細や自治体ごとの受付状況は変化することもあるため、実際に検討する際は、ジチタイリンクが運用するようなポータルサイトを活用すれば、複数の自治体の受付状況や対象事業をまとめて確認でき、災害時にも素早く情報を把握できます。 

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